機関投資家にとって2021年の最大の課題は気候変動

モロー・ソダリの新しい調査結果:機関投資家は、投資と議決権代理行使の決定におけるESGの重要性の高まりを強調

ロンドン--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 総額29兆ドルの資産を運用する機関投資家は、企業取締役会への関与を促す可能性の最も高い問題として、気候変動を挙げました。

これは、モロー・ソダリが本日発表した2021年の機関投資家調査の主要な結果の一つです。

世界の40を超える機関投資家を対象に実施しているこの年次調査は、機関投資家が企業分析において何を重視しているかを明らかにするとともに、機関投資家が株主総会での議決権行使の方法を決定する際に重点を置いている分野を示すことを目的としています。

調査の質問事項は、ESG(環境・社会・ガバナンス)およびサステナビリティ、報酬および株主総会関連の問題株主アクティビズムを含む企業エンゲージメントにおける最新の傾向が明らかになるように設定されています。

今年で6年目を迎えたこの調査では、ESGがますます重視されるようになっていることが明らかになりました。調査対象となった機関投資家は、ESGパフォーマンスと良好な財務業績との間に明確な関連性があるとしており、これらの課題に対する企業のエンゲージメントと報告の改善を求めています。

これには、取締役会の構成、役員報酬、人的資本管理など、いずれもこれまで以上に精査されるようになっている問題も含まれますが、投資家による関与を促すという点で最も重視されている課題は気候変動です。調査結果によると、企業によるESG報告の質の改善余地は大きく、特に投資家は企業がこうした問題について事業計画の側面から取り上げることを求めています。企業は、経営陣、取締役会の両面でこの問題に対応する適切な人材を配置し、そのような責任者が関連事項を適切に議論できるようにする必要があります。

投資家は、気候変動と財務リスクおよび機会との関連性の明確化、気候変動が企業戦略に及ぼすと予想される影響の時期範囲の説明、気候変動に関する尺度、目標、成果の明確な開示を期待しています。気候リスクを投資家が最も重要視していることは明らかであり、したがって、最も望ましい報告の枠組みとして他を大きく引き離して75%の回答者がTCFDによる枠組みを挙げたことは当然と言えます。

今回の調査では、TCFDを支持する声が大きく高まっていることが明らかになり、多くの投資家が企業に対してTCFDに準拠することを期待しており、そうでない場合は、なぜそれが不要と考えるのかを説明することを求めています。2番目の選択肢はSAS3で、かなりの割合の回答者(39%)が独自の枠組みを使用していると回答していることが注目されます。これは、投資家がこの点に関して非常に精通するようになっていることを示唆しています。

調査では、企業理念が持続可能な長期的な価値の創造の原動力の一つと考えられていることが明らかになり、過半数の回答者(86%)が、あらゆる企業が企業理念を開示すべきであるとしており、相当な数の回答者(20%)は、この問題が取締役会長あるいは他の取締役の否認につながる可能性があると回答しています。

今やESGは投資家が企業の戦略と業績を評価する際の重要な要因となっており、予想にたがわず、圧倒的多数の回答者(95%)が役員のインセンティブ制度にESGを組み入れることが望ましいとしています。過去の傾向を振り返ってみると、投資家はインセンティブの一定割合をサステナビリティ尺度と関連付けることを求めており、2021年の調査でさらに掘り下げた質問をしたところ、その妥当な水準は5~25%ということで強い意見の一致(69%)が見られました。

特筆すべきは、年間のインセンティブに対する回答で、短期的なインセンティブ制度にサステナビリティ・パフォーマンス尺度を加味することを支持する見方(95%)が大きく高まっていることが明らかになりました。これに対して、2018年の調査では、ESGパフォーマンス尺度を短期的なインセンティブ制度に組み入れることの重要性に関する問いに対して29%が「重要ではない」と回答しており、8%が「どちらとも言えない」と回答していました。そこで問題となるのが、どのESG指標を年間のインセンティブ制度に組み入れるべきか、ということです。どの種類の指標でも対象としてふさわしいわけではないことは明らかです。

過去3年間、モロー・ソダリの調査では投資家に、「役員報酬に関する提案に反対票を投じるとすればその理由は何か」を尋ねてきました。この質問に対して投資家は一貫して、主な懸念として「報酬と業績の不一致」を挙げています。今年の調査では、この問題をさらに掘り下げ、そうした不一致を示す重要な事例は何かを尋ねました。

これに対して投資家は、業績の基準を設けていないインセンティブ制度(63%)、COVID-19により深刻な打撃を受けている企業による賞与の支払い(46%)、裁量的変動給制度の採用(29%)を主な懸念要因として挙げています。

2021年も株主アクティビズムの進化が続いており、調査結果は、伝統的な活動、ESG関連の双方について、投資家アクティビストのキャンペーンに対する支持の高まりを反映したものとなっています。大半の投資家は、取締役への関与が取締役会に影響を及ぼす最も効果的な方法と考えていますが、他の株主との協調が急速に受け入れられるようになっています。2021年には、回答者の86%が他の株主との協力は取締役会に影響を及ぼす効果的な手段であることに「強く同意」あるいは「ある程度同意」すると答え、この割合は2018年の調査(12%)と比べて大幅に増加しました。

財務業績の低迷以外でアクティビストの支持につながる可能性が最も高い要因として投資家が挙げたのは、不適切な戦略的意思決定でした。アクティビストの支持につながるESG要因は何かという問いに対しては、回答者の66%が、ESGに関する株主決議への対応の欠如を最も差し迫った問題として挙げました。

昨年の調査ではこれと同じ問いをやや違った側面から行い、ESG問題に対してより多くの注意を払うよう取締役会に促す方法を尋ねたところ、この方法を支持した投資家はわずか21%でした。2021年にこの選択肢に対する支持が劇的に増加したことは、注目に値します。これは、「グローバル規模で気候変動にますます明確に焦点を絞る」という今年の投資家対応の大きなテーマを明確に反映しています。

モロー・ソダリの2021年機関投資家調査の全文は、こちらをご覧ください。

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モロー・ソダリの詳細情報については、www.morrowsodali.comをご覧ください。

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