県外への移動 自粛要請 栃木県「厳重警戒」維持 市町へワクチン支援を強化

新型コロナウイルス感染症対策本部会議後に記者会見する福田知事=14日午後、県庁

 県は14日、新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開き、全国での感染急拡大などを踏まえ、県民に県外への不要不急の移動を自粛するよう求めることを決めた。期間は15~31日まで。52億円程度の補正予算を編成し、ワクチン接種体制の強化や感染拡大の影響を受ける事業者支援を行う。県独自の警戒度は5段階で真ん中の「厳重警戒」を維持するが、福田富一(ふくだとみかず)知事は会議後の記者会見で「第4波のうねりの中にいる。(警戒度で2番目に深刻な)『重点措置』への瀬戸際だ」と強い危機感を示した。

 県内直近2週間の新規感染者はおおよそ20~40人台で推移し、8日は106日ぶりに50人を超え、14日も51人の陽性が判明した。クラスター(感染者集団)が頻発し、変異株への置き換わりも進んでいる。

 13日時点の人口10万人当たりの新規感染者数(11.8人)や全療養者数(15.7人)は4月22日の前回会議時より大幅に増加。病床使用率は25.2%から38.1%まで上昇し、医療体制の負荷も高まっている。福田知事は「20%を超えるとコロナ以外の医療に影響が出る。危機意識を持つべき数字だ」と警戒を強めた。

 新たに編成する補正予算では、ワクチン接種を円滑に進めるため時間外や休日に接種を担う医療従事者の人件費を市町に助成し、市町の人員確保を支援する。県の受診・ワクチン相談センターはスタッフの数を増やし、24時間体制で相談を受け付ける。

 感染防止対策に取り組む飲食店を県が認証する「とちまる安心認証」の申請を促すため、空調設備など店舗改装を行う飲食店に対し経費の一部を助成する。4、5月のいずれかの売り上げが前年または前々年の同月比で50%以上減った中小法人・個人事業者には、応援一時金として10万~20万円を支給する。

 近隣都県が感染拡大傾向で、隣接する群馬県にも「まん延防止等重点措置」が適用されることなどから、福田知事は「(本県も)感染状況が悪化すれば、ちゅうちょなく『重点措置』に移行したい」と強調した。

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