【体操・NHK杯】優勝の村上茉愛 内定した東京五輪への思い「試合できることが奇跡と感じる」

団体総合メンバーに決まり、インタビューで涙ぐむ村上茉愛(代表撮影)

体操の東京五輪代表選考会を兼ねたNHK杯(長野・ビッグハット)の女子個人総合で優勝した村上茉愛(24=日体クラブ)が15日、女子団体のエースとして東京五輪内定を決めた。

畠田瞳(20=セントラルスポーツ)、平岩優奈(22=戸田スポーツクラブ)、杉原愛子(21=武庫川女子大)という後輩とともに団体メンバーが決定。表彰式では涙を見せたが、その後の会見では「代表を取ることが大前提だったので、それが達成できて今日は一安心と思っていますと笑顔を見せた。

この2年間は言葉に尽くせぬ苦労が付きまとった。2019年のNHK杯は腰のケガで棄権し、世界選手権の代表を漏れて号泣。ケガで思うように体が動けない地獄の日々を味わい、五輪はおろか体操を辞めようと思ったこともあった。

2020年は新型コロナウイルス禍という予想もしない事態が襲い、自粛期間中は心が折れた。ケガが治った後も「それがもう一度出ないか。トラウマというか、フラッシュバックする。ひたすら練習して忘れさせ、自信につながるようにしていたけど、普段の生活に戻ってしまうと、明日もケガしないようにって勝手に頭によぎっていました」と、故障におびえた日々を振り返った。

技をしようとしても、できない――。そんな夢も何度も見たという。「毎日、体操のことを考えてプレッシャーになっているのかなあって思った」。このままだと気がおかしくなる。そう思って、五輪選考レースでは「楽しむ」と決め、フラッシュバックを払拭してきたという。

紆余曲折を経て、ようやくつかんだ夢舞台への切符。五輪への風当たりが強い現実をしっかりと受け止め「試合ができていることがまず奇跡だって感じるようになった。自分は選手としてひたすら練習するのみ。国民の1人として感染予防対策は皆、平等だと思っている。自分がそれをすることで五輪が開催し、出ることができるのなら、すべて協力したい」と胸の内を語った。

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