マリア像設置推進へ総会 住民有志、募金開始 南島原

地元有志が設置を目指す木彫の聖マリア像=神奈川県藤沢市(南島原市提供)

 2015~16年に、長崎県南島原市の官民が木製の聖マリア像(高さ9.5メートル)の寄贈受け入れを目指しながら断念した問題で、市内の有志でつくる「南島原世界遺産市民の会」(石川嘉則代表理事)は15日、設置推進の総会を同市有家町のありえコレジヨホールで開いた。総額約1億1千万円と見込まれる移送・設置費用に充てるため寄付金の募集も同日から始めた。
 同像は神奈川県の彫刻家親松(おやまつ)英治氏(87)が「島原の乱」犠牲者の供養にと制作し、14年11月に寄贈を申し出た。市は移送など関連費用約2800万円を予算化したが、一部市民が「政教分離に反する」と指摘。市も「市を二分する懸念があり、混乱を避けたい」と判断。その後、民間での受け入れを目指したが、16年6月、交渉がまとまらず断念した。
 18年4月に親松氏から石川代表理事ら有志に改めて寄贈の申し入れがあり、マリア像を生かした地域活性化などを目的に昨年3月、同会を設立した。設置候補地の視察など準備を進めている。
 この日の総会には市民ら約70人が出席。石川代表理事が「親松氏の体力を考えると待つことはできない。像は約40年をかけて作られた。2、300年先の未来のためにも設置を成し遂げたい。皆さまのご協力をお願いしたい」とあいさつ。続いて、経過報告やマリア像の制作秘話、親松氏のメッセージの紹介などがあった。

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