<コロナ緊急事態宣言>3道県追加は当然=専門家の声を生かす転機に―立石信雄オムロン元会長

©株式会社 Record China

新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、東京都や大阪府など6都府県に出されている「緊急事態宣言」の対象地域に北海道と岡山、広島両県が5月16日追加された。政府は当初、より緩やかな「まん延防止等重点措置」にとどめようとしたが、3道県の感染の急拡大を重くみた専門家から、より厳しい措置を求める意見が相次ぎ、急きょ、宣言の対象とすることを決めたという。

北海道など3道県では医療体制も逼迫している。政府の分科会では、変異株の広がりが危惧され、まん延防止措置では不十分だとの意見が相次いだようだ。政府の当初方針が覆ったのは異例の展開とされる。

感染第3波でも経済活動への影響に配慮するあまり、対策を小出しにした結果、年末年始に感染が急拡大した。感染第4波に見舞われた大阪府のケースではまん延防止措置では変異株を抑えきれないことが明らかになったという。

緊急事態宣言下では、休業の要請や命令が可能になる。専門家は人出の抑制が重要だと強調している。政府は自治体と連携し、効果的な対策を打ち出す必要があろう。国民の自粛疲れが強まる中、宣言の効果が薄れてきているとの指摘もある。国民の協力を得るには、政府の明確なメッセージが欠かせない。

新型コロナ感染は他の地方でも拡大しており、都市部だけでなく、地方でも、感染力の強い変異ウイルスへの置き換わりが進み、重症者も連日のように最多を更新している。地方の医療資源は都市部より手薄であり、住民の命を守るためには、より強い対策のとれる宣言とすることは妥当な判断といえる。

このほか群馬、石川、熊本の3県には、新たにまん延防止等重点措置が適用された。全国知事会は迅速な対応を要望している。政府は自治体や専門家の意見に耳を傾け、対策の強化をためらってはならない。

政府はワクチンを感染対策の切り札としているが、高齢者への接種が終わるまで数カ月かかるという。それまでの間、国民の命をどう守るのか。実効性ある戦略を早急に示すことが求められている。

これまで分科会は政府案を追認するばかりだった。菅政権は今回の初めての方針転換を、独善に陥らず、専門家や自治体の声を生かす転機としなければならない。

<直言篇159>