まちのごみ拾う「戦隊ヒーロー」活動12年 当初は通報される騒ぎも、今は地域に親しまれ

戦隊ヒーローの青い衣装を身に付け、ごみ拾いをするNPO法人スウィングの利用者やスタッフら(京都市北区)

 京都市北区の上賀茂地域に、戦隊ヒーローの青い衣装を身に付けて、ごみ拾いをする集団が月に1度現れている。一見、風変りな光景に映るが、すれ違った住民が笑顔で手を振るなど、日常にすっかり溶け込んでいる。実はこの集団、12年にわたり150回も清掃を続けている。

 集団の正体は、北区で福祉事業所を運営するNPO法人「Swing(スウィング)」の利用者やスタッフ、有志の市民。障害者の生活支援を通じて多様な生き方を提案する同法人は、生産性にとらわれない働き方や活動を模索し、2008年に「ゴミコロリ」と名付けたごみ拾いを始めた。

 50回目からスウィングの広報に使っていた戦隊ヒーローのマスクや衣装を着るようになった。当初は警察に通報される騒ぎもあったが、清掃を続けるうちに見た目のインパクトも手伝って地域に親しまれるようになった。

 4月21日には150回目の活動を迎えた。13人がごみ袋とはさみを持って2時間ほど歩き、ペットボトルや菓子袋などを拾った。初めて参加した女子大学生(26)は「普段見慣れた地面でも、ごみ拾いの目的を持って見るとさまざまな発見があった」と話す。

 同法人の木ノ戸昌幸理事長は「始めたばかりの頃は、お金にならないのになぜするのかとスタッフや利用者から異論もあった。だが続けるうちに意識が変わり、今では皆、仕事と捉え積極的に取り組んでいる」と振り返る。その上で「労働対価が支払われない活動でもやりがいを持ち楽しんで継続すれば、仕事として扱うことができると実感している」と意義を強調する。

© 株式会社京都新聞社