かかりつけ枠は不公平? 熊本市の高齢者接種予約 医療機関「優先すべき人いる」

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熊本市のホームページで公開されている、新型コロナウイルスワクチン接種に関する医療機関向けの確認事項資料の一部

 熊本市が6日始めた新型コロナワクチンの一般高齢者向け接種の予約受け付けで、個別接種を請け負う医療機関の多くが、かかりつけ患者の「非公開枠」を設けていた。予約から漏れた高齢者からは「不公平だ」と不満の声も上がるが、医療機関は「優先して接種すべき患者がいる」と理解を求めている。

 同市の一般高齢者向け接種は、約400の医療機関による個別接種と、公共施設などでの集団接種で実施する。各医療機関は接種可能な人数を市に報告しており、市のコールセンターやホームページを通じての予約のほか、一部の医療機関では直接予約を受け付けている。

 市は医療機関に対し、だれでも予約できる「公開枠」とは別に、かかりつけ患者や入院患者を優先する「非公開枠」を設けることを認めている。かかりつけ患者の予約開始時期も「各医療機関の裁量」としていた。

 6日には直接予約を受け付ける約80の医療機関を公開したが、かかりつけ患者以外は受け付けない医療機関もあることや、予約の時期などは周知されておらず、混乱を招いた。

 東区の女性(70)は、高血圧の治療に通う医院で4月末に診察を受けた際、6月に予約を入れてもらったと明かす。「何より、体調を分かってくれているところで打ってもらえるのは安心です」。しかし、南区の男性(65)は「6日より前に、知り合い数人から『もう予約を入れた』と聞き、不公平だと思った」と憤慨する。

 普段から診療し、病状を把握している患者に早く接種したいと考える医療機関は少なくない。かかりつけ患者のみ受け付けるという北区のクリニック院長は「自分で予約するのが難しい1人暮らしの高齢者や認知症患者をとりこぼさずに接種したい」として、「非公開枠」は必要と話す。

 中央区のクリニックでも、がんや糖尿病患者など重症化のリスクが高いかかりつけ患者には、事前にワクチン接種の意向があるか尋ねてきた。「不公平」という指摘には「市民感情としては理解できるが、私たち医師も必要性を考えながら決めている」と説明する。(河内正一郎、内海正樹、清島理紗)