初勝利を掴んだアレジ「こんなに早くも優勝できるとは思っていませんでした」【第3戦オートポリス決勝会見】

 5月16日にオートポリスで開催された2021年全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦。決勝レースで初優勝を飾ったジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、2位の阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)、3位の松下信治(B-Max Racing Team)、そしてKuo VANTELIN TEAM TOM’Sの舘信秀監督が決勝後の会見でレースを振り返った。

ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)

決勝:優勝

「本当にいいスタートができました。スタートのあとすぐにセーフティカーが入り、そこからリスタートになってからも、最初は(天候の影響もあり)難しかったですね。簡単ではなかったですが、ペースをコンスタントに維持して走りました」

「ウエットでのスタートはGP3やFIA-F2でも経験していますが、スーパーフォーミュラはまったく別のカテゴリーですから、全部が違いました。前回の鈴鹿ではスタートもあまり良くなかったので、今回いいスタートを決めれたことが本当に嬉しいです」

「(赤旗中断中、再開を)待つのはドライビングより難しかったです(笑)。(クルマの中でじっとして)動かないでいると腰が痛くなりましたが、一度降りて、トイレに行ったりしていたので大丈夫です」

「優勝のために勉強を続けていますが、こんなに早くも優勝するとは考えていませんでした。僕が集中するべきことは、スーパーフォーミュラでどうやってもっと速く走るかを学ぶこと、それだけでした」

「(次の参戦があるとしたら)また0からのスタートになるので、僕のメンタリティ、考え方は同じですね。サーキットを学んで、どうやって速く走るかを考えることに集中するだけです。毎回優勝したいですけど、あまりポジションは考えず、です」

Kuo VANTELIN TEAM TOM’S 舘信秀監督

「大変荒れたレースで、最後まで走ることはできませんでしたけど、素直に嬉しいです」

「昨日も降ったり止んだりと大変荒れたコンディションでしたが、非常にチーム全体が落ち着いていましたし、なんといってもジュリアーノ・アレジ君が一番落ち着いていて、いいタイミングでタイムを出したと思います。昨日のオペレーションは本当に上手だったと思います。去年のチャンピオンチームなので、ピットロード出口側の一番前だったということも非常に有利に働いたと思いますけど、それをうまく利用して、予選のやり方も上手でしたが、まさかワンツーを獲れるとは思っていませんでした。予選でワンツーという結果で、昨日から本当に、チームとしてはうまくやったなというふうに思います」

「(決勝中の心境は)少し、今までにない感じだったというか……息子が走っているかのような気持ちでしたね」

「ジュリアーノには申し訳ないけど、僕はまだまだだと思っていました。なので、あんなに完璧な予選とレースをしてくれるとは、正直思っていませんでした。なので、レース中はミスをしなければいいなというふうに、親心のように思っていましたね」

「ジュリアーノは、これからが楽しみになってきましたね。少し時間がかかると思っていたので、スーパーフォーミュラ・ライツからじっくりと、時間をかけて育てていきたいなと思っていましたが、すぐにレギュラーメンバーでもいいような気持ちがしています。少し、中嶋一貴には申し訳ないけど(笑)」

「今日の(宮田)莉朋(4位)はスタートが少し上手ではなかったですね。でも走れば結構速かったので、うまくスタートしていれば、そのままワンツーというのもあり得たのかもしれません」

「次戦、一貴どうしようかなと思ったのですけど(笑)。そうですね、また次戦も優勝を目指して頑張りたいと思います」

2021スーパーフォーミュラ第3戦オートポリス ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)

■初表彰台を獲得した阪口晴南「今年必ず1回は勝てるように頑張りたい」

阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)

決勝:2位

「参戦初年度で表彰台を獲得することができ、よかったと思っていますし、チームに感謝しています」

「(スタートでは)クラッチミートはうまくいって、伸びも良かったのですけど、1コーナーで風の影響だったり、ブレーキ温度の影響だったりで、少し自分の(想定していた)フィーリングと違っていて、1コーナーの出口あたりで飛び出してしまい順位を下げてしまったのですけど、そのあと1台リカバリーしたところで、セーフティカーが導入されたという感じです」

「リスタート後は落ち着いて走ることができて、少し順位を上げることができましたが、ペースはあまりよくなかったです。予選ではうまく走れたのですけど、決勝は少し速く走れなかったというのがあるので、そこは課題として残っています」

「(赤旗中はリラックスしていた?)自分のレースに対するテンションは普段からあんな感じです。集中を切らさないとか、集中が切れるとかいうのがあまりわからなくて、自分はそのままの自然体でクルマに乗り込んでいますし、常に(実力の)100%を出せるタイプなので、あの局面はリラックスしていたように見えたかもしれませんが、もしレースが再開されていたとしてもちゃんと100%まで持っていけていたと思います。もちろん、最後にもうひと勝負してみたかったなというのは正直ありますが、すごい霧でしたし、仕方がないことです。正しい判断だったなと思います」

「(ドライでもフィーリングが良くなってきてるか?という問いに対し)そんなに甘い読みはしていません。ウエットは開幕前の鈴鹿公式テストでもフィーリングがよかったですし、今回もよかったのですが、ドライはまた前戦鈴鹿のレースを元に、考えていく必要があると思っています。次はドライでも上位で戦って、今年必ず1回は勝てるように頑張りたいと思います」

松下信治(B-Max Racing Team)

決勝:3位

「今日のレースに関しては、少し残念な終わり方ではありますが、こうやって表彰台で終われたことは不幸中の幸いという感じです。みんなもっと走りたかったと思いますが、仕方がない決断だったのかなと思います」

「僕がここにいれるのは、本当にいろいろな人のサポートがあってです。金曜日にサーキットのパドックに来るたびに、それを噛み締めるというか……。それくらい特別な思いでやっているので、その中で結果を出さないと、なんのためにみなさんが動いてくださったのか、(スーパーフォーミュラに)戻ってきたのかがわからなくなってしまうので、どうしても結果が出したかったです。そういう意味では今回ウエットでしたが、いいペースで走ることができましたので、よかったなと思います」

「スタートでは3台ほどかわしてブレーキングに入ると、僕の前のスペースが空いていたので、そこに突っ込んでいったという感じです。1コーナーではクラッシュもあったので、それに助けられたのかなと思います。1コーナーを過ぎてからは3番手で、リスタートの際に関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)選手がコースアウトしたため、2番手に上がったのですけど、そのあとのペースが本当に良かったですね」

「昨日の予選でも本当は速かったのですけど、ピットの場所が出口から一番離れていることもあり、アタックのたびに赤旗中断を受けてしまいましたが、速さの確認はできていました。ドライのセットアップが試せていないという懸念は残りましたが、新しい担当の田坂泰啓エンジニアさんも頑張ってくださり、表彰台を獲得し、次回のSUGOに向けてチームのモチベーションも上がってきていると思います」

「チーム体制が本当にドタバタだったので、4月の初めから始まって、誰がエンジニアをするとか、どういうセットアップにするかとかも0だったので。案の定、前回の鈴鹿では悲惨な結果になってしまって。でもチームは諦めずに、めげずにメカニックもピット作業のために毎日トレーニングしてくれて、チーム全体が底上げしてくれたので。今回はピットストップがありませんでしたが、次回に向けては自分もピットがちゃんとしてくれるという自信があるし、そういうひとつひとつが重なった結果だったと思います」

「僕にはスポンサーさんやホンダさん、そしてチームの助けがありますけど、その人たちに結果で返したいのですが、まだまだ足りないと思っています。もちろん、シリーズチャンピオンを目指して、残りのレースを全力疾走でいきたいと思っています」

暫定表彰式の様子。その後、松下信治に5秒加算ペナルティが課せられ、阪口晴南が2位、松下が3位へと変わった

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