ソフトバンク4時間超えドロー決着に導いた「ダイエー戦士」の胆力

7回に価値ある2点同点タイムリーを放ったソフトバンク・明石

価値あるドローで札幌遠征を無敗で終えた。ソフトバンクは16日の日本ハム戦(札幌ドーム)に2―2の引き分け。先発・二保が5回に2点を先取されたが、7回に明石健志内野手(35)が貴重な2点適時打を放ってチームの窮地を救った。

4時間9分に及んだロングゲームに、工藤公康監督(58)は「負けているところをよく追いついた。リリーフ陣も頑張って0で耐えしのいだ。大きい(引き分け)かなと思う」とナインをたたえた。

プロ18年目、現役野手で唯一残るダイエー戦士が「胆力」を発揮した。明石が2点を追う7回二死二、三塁で中前へ同点打。2人の走者を本塁に迎え入れ、ベテランは一塁塁上で柔和な笑みを浮かべてベンチに向かって握り拳を作った。

「フォークをうまく拾うことができた。何とかみんなでつないで作ったチャンスで、同点となる一本を打つことができてよかった」。改めて示した大きな存在価値に、指揮官も「食らいついて結果を出せるのは、さすが」と称賛を惜しまなかった。

6回以降は田浦―嘉弥真―津森―泉―モイネロの継投で追加点を許さなかった。指揮官は「9回制では引き分けも大きい」とドロー決着の意義を強調した上で「負けているところを引き分けて、勝っているところをどう勝ち切るか。そういうゲームを増やしていきたい」と前を向いた。

起きたこと、終わったことを前向きに総括する指揮官は、この試合の初回に飛び出した上林の「幻の本塁打」にも言及。右翼ポールのはるか上を通過して着弾した当たりが、リプレー検証に持ち込まれながらもファールになったことに「審判の方が判断したのならそうなのかもしれない」と冷静に受け止めた。その上で「見てると…(入ったようにも見えた)というのはある」と上林を思いやりつつ「『また打て!』とハッパをかけたい」と励ました。

昨季から続く札幌での無敗を継続したが、引き分けでゲーム差なしの2位に後退したソフトバンク。「負けない強さ」に光を当て、次なる戦いへ向かう。

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