
どんなマスクを着ければ、どれくらい飛沫の拡散を防げるのか-。長崎大薬学部育薬研究教育センターの都田真奈教授らはマスクの素材ごとにマイクロ飛沫を抑え込む効果を研究。特に不織布が高い効果を発揮した。都田教授は「マスクの着用で人に感染させにくくなることを改めて認識してほしい」としている。
噴霧器の口に不織布、綿(布、ガーゼ、オーガニックコットン)、ウレタンの各マスクを当てて、飛沫を約5秒間出し、それぞれの外側ににじみ出た飛沫粒子数をサイズ(0.3~5マイクロメートル)別に計測。何も着けない場合と比較し、マスクの内側に飛沫を抑え込む割合を調べた。
その結果、いずれのマスクも、何も着けない時より飛沫の拡散を防ぐ効果があり、その程度はマスクの素材によって変わることが明らかになった。
不織布はどのサイズの粒子も98~100%遮断。網目が細かく多層構造なので、多くの粒子を抑え込んだとみられる。ガーゼなどの綿は、最も小さい粒子が素材によって50~90%とばらつきがあったものの、それより大きい粒子は100%近くカットできた。
一方、ウレタンは2マイクロメートル以下の粒子が52~61%と不織布より効果がほぼ半減。大きな粒子はわずか3%しか抑え込めなかった。網目が比較的粗いため、大きな粒子も通過してしまう。その半面、粒子同士が不規則に動いて衝突し合う現象(ブラウン運動)によって、小さい粒子はマスクの内側に一定とどまったと考えられる。

ただ不織布の効果が高いのは、顔と隙間なく着用した場合に限られる。また、いずれのマスクも顔から外す際には、内側に付いた飛沫に注意が必要。特にウレタンは、外側表面にも飛沫がにじみ出て付着している可能性が高いだけに、外側も手で触れないのが望ましいという。都田教授は「マスクの性質を理解し、いかに人に感染させないかを意識してほしい」と促す。
同研究は同大大学院地域医療協働センターの呼び掛けで、都田教授と研究室の学生、同大大学院の川上茂教授らが行った。