桂文枝が名演出家・澤田隆治さんを偲ぶ 「もう思い出がありすぎて書ききれない」というほどの恩人

澤田隆治さん

落語家・桂文枝(77)が17日、オフィシャルブログを更新し、16日に都内の病院で亡くなった名プロデューサーで演出家の澤田隆治さん(享年88)をしのんだ。

コメディー番組「てなもんや三度笠」を手掛け、1980年代の漫才ブームの仕掛け人だった澤田さんは、文枝が司会を務め放送50年の歴史を持つABCテレビの長寿番組「新婚さんいらっしゃい!」をヒットさせたことでも知られる。

文枝はこの日、「涙がとまらない」と題したブログを更新。「『新婚さんいらっしゃい』は、あるプロデューサーの思いつきで始まった。まるまる50年前に、その時もうすでに使っていた『いらっしゃい』のギャグを番組のタイトルにつけるということで始まった」と切り出した。

新婚さん開始前から、澤田さんに多くの番組に起用してもらったといい、「一人の個性あふれるプロデューサーによって、僕はどんどん世に出てゆくのであった」と振り返った。

漫才ブームの仕掛け人として知られる澤田さんだが「落語も大事にしてくれた」と感謝。「笑芸に並々ならぬ情熱を注ぎ、テレビ局をやめた後も自分で制作プロダクション作り、テレビで一時代を作られた。豪快かつ繊細とにかく笑演芸に詳しかった。物書きとしても、たくさんの本を世に出した。貴重な演芸の資料になっている」とその功績をたたえた。

「もう思い出がありすぎて書ききれない」というほどの恩人の訃報に「先生。澤田隆治先生の訃報を昨日聞いて眠れませんでした」とショックの大きさを吐露。

「あまりに多い思い出。もう2度と現れないテレビ界の怪物と言えるでしょう。先日、永田キングの本を書いたところなのに、また違う本を出すという前日に旅立たれた。合掌。本当にお世話になりました。書き尽くせないほどに一介のプロデューサーではなく、研究者であった。とにかく精力的だった。去年もっと話しておけば良かったと、ほぞを噛む次第です。再び合掌。ありがとうございました」とその死を惜しんだ。

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