野々市市の観光地を巡る!旧北国街道散策と金沢カレーの聖地も堪能できる旅

旅人へひとこと

金沢カレー発祥のお店に行くのなら、すぐ近くの歴史街道や全国住みよさランキング1位の街もご体感あれ。

北陸のカレーを食べ歩いて「北陸カレー物語」というサイトを作って今年でなんと22年目! 一番古いんじゃないかと思えてきたこの頃、気が付けば「いしかわ観光特使」にも選ばれ、ゆるゆると石川県を中心に北陸の食や観光などを発信し続けているナマステです。

インド人にも「ナマステさん、ナマステ」と呼ばれることも(汗)。

主に「カレー」を中心に記事を書いていますが、食べること自体が昔から大好きで、今でもいろんなお店を食べていて、ジャンルの違う「おいしさ」を知ることにより、もっと食やカレーへの理解が深まると思って日々、食べ歩いています。

また、ブログすら存在しない、店内で写真撮っただけで怒られる時代から記事を書いているので、とにかくお店リスペクト。味もさることながら、お店の雰囲気や店主の考えや人柄などもひっくるめてお店を判断しており、特に老舗と言われる少なくとも20年以上続けているお店には自分も活動が長いので魅力を感じちゃいますね。

【ニッポンごはん旅】では、「いしかわ観光特使」として、有名処もさることながら、地元民ならではの観光スポットやその付近にピッタリのお店などをご紹介していきたいな、と思っていますので、ぜひ石川県の魅力を感じていただければ嬉しいです!

金沢のお隣!野々市市は全国で一番住みやすい所なんです!

石川県と言えば金沢!ではなく、今回はそのお隣の「野々市市」の魅力をご紹介。

石川県に観光に来たら全国的にも有名な「金沢カレー」の発祥のお店に行く人も沢山いるかと思いますが、郊外なので、食べてそのまま帰っていませんか? そんなの、もったいなすぎる! せっかくなのでお店がある「野々市市」も回ってみましょうよ。

えっ、野々市どこよ?ってなりそうですが、なんとこの野々市市、人口5万人強、金沢のベットタウンとかも言われている新しく小さな市ながら、2020年の「住みよさランキング」で全国812都市の中で堂々の1位。しかも2011年に市制が始まった最初のランキングでいきなり2位、それ以降8年間で総合しても全国1位なんじゃないかって勝手に思ってる評価の高い都市なのです。

はい、自分も住んでいます。ランキングに出るまでは分からなかったけど、確かに他の場所で住んでみると、野々市の良さがわかる、生活しやすい、必要なものは揃っている、とにかく不便がないんですよねー。具体的に?と聞かれると「なんとなく」ですが、住みにくいなーって言う人はまず聞いたことない、そこが一番重要なのかな。

ちなみに、市花木は「椿」で、市にある『ののいち椿館』は今年、日本で9番目、本州では初の国際優秀つばき園に認定されて、これは世界的にもめっちゃスゴイことなのですよ。

室町時代の加賀の中心は金沢ではなく「野々市」だった!

その住みやすい都市「野々市市」ですが、市制になってまだ10年弱なので、若者の街、新しい街とか言われて、実際そう思われがちですが、実はあまり知られてない(というか自分も大人になるまで知らなかった)のですが、石川県と言えば金沢、加賀百万石、前田利家公など出てくると思いますが、それは江戸時代以降の事で、室町時代より以前の加賀の中心地はここ「野々市」だったという衝撃。実は歴史が深い場所なのですよー。

難しいこと書いても面白くないので、めっちゃ簡単に説明すると、室町時代には各地域に「守護」と呼ばれる現代の「知事」のような役職があり(歴史の教科書に載っていましたね)、野々市に館を構えていた「富樫氏」という氏族が代々この守護職についていたのです。

なんで現代風に言うと「県庁」が野々市付近にあり、加賀は野々市を中心に政治・経済・商業が栄えていた!ということなのです(簡単すぎ)。逆に金沢はそれまであまり何もなく、通り過ぎちゃう土地だったそうな、ビックリですね。

その富樫氏は平安時代の有名な藤原氏の氏族で国司として加賀にやってきて、源平の戦いでは源氏とともに平家と戦い、足利尊氏の元で室町幕府を開くのに尽力したので、「守護」として約150年もの間、野々市を中心として加賀を治めることに。

でも、悲しいことに一向一揆で攻め滅ぼされ(ガーン)、加賀の一向一揆衆の根城が金沢の今の兼六園や金沢城付近だったこともあり、そこに上杉謙信や織田信長勢が攻め入って陥落し、なんやかんやで気が付けば前田利家公が一向一揆衆の根城だった場所を中心に加賀を治めることになって、気が付けば加賀の中心は野々市から金沢にうつって、「加賀百万石」と言われる時代が始まりましたとさー。

めっちゃ簡単な説明で歴史に詳しい人には怒られそうですが(ゴメンナサイ)、そんなこんなで「野々市」は室町時代以前まで加賀の中心地で栄えていたため、滋賀県から新潟県までを結んでいた「北国街道」と言われる重要な街道も野々市付近を通っており、江戸時代になってからも金沢から京へ向かう最初の宿「野々市宿」としてめっちゃ栄え、大きな町家が沢山並んで県内指折りの宿場町として発展しており、その宿の一部の名残が現代まで残っているんですよー。

そして、名だたる武将や皇族、松尾芭蕉なども通った記録が残っており、新しくは明治天皇、古くは弁慶が源義経を叩くことで有名な歌舞伎の演目「勧進帳」の舞台は石川県小松市となっていますが、登場する富樫の館は、実際には野々市にあったため勧進帳の舞台は野々市だー!って説もあるのですよー。

どうですか? ちょっと興味わいてきました? そんな有名な歴史街道が金沢カレーの聖地からなんと500mの距離にあるんですよー。

そして野々市市は近年、その『北国街道』や『野々市宿』を中心に観光に力を入れており、約500mの街道ですが、無電柱化や看板、観光ボランティア、駐車場なども設置し、『歴史街道』としてじわじわと人気を集めていて、歴史好きの方にはピッタリの人気スポットなのです。

年に一度、北国街道『野々市宿』が歩行者天国となる盛大なお祭り

近年、秋頃にこの『野々市宿』の一部を歩行者天国にして「北国街道 野々市の市」というお祭りが開催されています。普段見ることができない町家の中も見学できるし、「野菜神輿」という野菜を祀った全国的にも珍しい秋祭りも見れるんですよ。
弁慶が投げたという大石のレプリカを投げるコンテストも人気で自分も毎年挑戦してます。
この日を狙って来てみて、野々市をまるごと満喫するのも手ですよ。
※2020年の開催は中止となりました、残念。

北国街道『野々市宿』の目玉! 国の重要文化財『喜多家』にはなんと!

この野々市を通る北国街道『野々市宿』の目玉といえば、藩政期の加賀の町家建築『喜多家』がおすすめ。野々市ではどの小学校も必ず見学に行くのですが、子供心に「古い大きい家やなー」ぐらいでしたが、なんてったって大人になってやっと分かる!国の重要文化財がどれほどすごいものか、を。

北国街道には町家が沢山残っておりますが、『喜多家』は代々、油屋、酒屋を営んでおり、そういった名残も残っている加賀の代表的な町家建築なのです。

町家に関しては、実際ご覧になっていただければと思うのですが、おすすめポイントとして、日本酒はもう作られてないのですが当時は「猩々」という銘柄で、ご年配の方は飲んだことがあるという人も。日本酒好きの自分にはうらやましい限り!というのは置いといて、当時の帆布の酒袋が残っていて販売しているんです。

そして、囲炉裏の灰に描かれる模様も世界から取材がくるほど有名で感動もの。

そして、なんといっても「イヴ・サンローラン」とも関係しているとかそうでないとか。とにかく大人心をくすぐりますよ~。

実は『喜多家』は個人所有で、所有者が関東にいらっしゃって不定期の開館でしたが、この度、2020年10月より市の所有となり、月曜定休以外、毎日見学できるようになりましたので(有料)、ぜひぜひ見学いただいて、いろんな発見をしてみてくださいね。

喜多家

〒921-8815 石川県野々市市本町3丁目8−11

創業半世紀! 金沢カレーの聖地『カレーのチャンピオン本店』

って野々市の紹介ばかりで逆に引っ張りまくりましたが、ご紹介した『野々市宿』の東端から東にたった500mほど進むと、金沢カレーの聖地『カレーのチャンピオン野々市本店』があるのですよー。金沢カレーの発祥のお店なので、勝手に「聖地」。こちらも食として半世紀はとても歴史深いですよね。

金沢カレーの歴史については、元祖だ!本家だ!などいろいろな説がネットに飛び交っていますが、細かい話を書けばめちゃ長くなるし他のネットの説と同じレベルになっちゃうので、それより一番信用できる一言「野々市生まれ、野々市育ちの自分が実際に見てきましたから!」

これが一番説得力ありますよねー。

元々人気のお店でしたが、特に人気が爆発したのが1990年頃の自分がまだ初々しい高校生の頃かなー。その頃は「ターバン(現存するターバンとは違うお店)」という店名で、今より50mほどの場所にお店があり、ほぼカウンターの小さいお店でしたが、当時初めて外に長蛇の列を見たときの衝撃は今でも忘れられないなー。

1990年頃にそんな外に長蛇で並んでいるお店ってありました? しかも座ってすぐカレーが出てきて、食べてすぐお店から出る!1人長くて10~15分。そんな回転がめっちゃ速いのに長蛇の列なのですよ。まさに蛇ってこういうことだーって。

1日1000人とかいう伝説も全部このお店のことなのですよー。

そりゃー、せっかくなので野々市どころか石川県に来たら一度は食べんなんげんよー。

お客が大半注文する金沢カレーの代名詞「Lカツ(エルカツ)」

金沢カレーといえば「カツ」「キャベツ」など想像するかと思いますが、その元となったのがこの「Lカツ」。1990年当時、メニューは沢山あれど、長蛇の列の99%が「Lカツ」「Lジャン(ごはんの量が多い)」の2択で、他のメニュー言おうものなら、スタッフ、お客、店内の全員がビックリして振り向くぐらいでした。実際、毎週のように通っていましたが、当時上記以外のメニューを頼んだ人に遭遇したのは1回かな。
せっかく金沢カレーの聖地に来たなら、ぜひ代名詞ともいえる「Lカツ」がおススメです。

って書きながら、実際、今は「Lカツ」以外も頼む人も多いし、特に本店はいつも面白いコラボもしているので、自分が気になったメニューを頼むのが一番です。

でも、ぜひ券売機で買って、チケット渡すときに「マヨ」と呪文唱えてみてくださいな。メニューにはないのにマヨネーズがビヨ~ンっとのってきます。これは自分の記憶だと1995年頃に常連さんが言い出したらしくて、じわじわ浸透していったので、周知の情報でも未だにチャンピオンカレーでは正式なトッピングではないみたいですよ。

そういうとこも好きです。

ただ当時は「カレーにマヨ」ってどうなん!って思っていましたが、今じゃマヨなしじゃ生きていけません。ぜひ、「マヨ」と呪文を。

そして、帰りに恥ずかしがらずに顔出しパネルで記念撮影してね。

カレーのチャンピオン 野々市本店

〒921-8811 石川県野々市市高橋町20−17

石川県の新しい大人気スポット『1の1 NONOICHI』には野々市のお土産も満載!

最後に新しい街としての「野々市」のご紹介。

北国街道『野々市宿』のすぐ近くに2019年3月に『にぎわいの里ののいち カミーノ』というすげー大きな公民館も備えた複合施設ができ、その敷地内に小学校をモチーフにした『1の1 NONOICHI』というお店があり、石川県では大人気スポットの一つなのです。

店内は小学校を懐かしく感じる素敵なデザインにつつまれ、食堂、シェアキッチン、シェアオフィス、そして野々市市の特産品も沢山販売しているので、土産物の購入にも最適。とにかくオシャレで、こちらは新しい街としての野々市の代名詞ですね。

野々市の観光の拠点に、「1からはじめる」をコンセプトにした『1の1 NONOICHI』からはじめるのもおすすめです! その他にも野々市には、超近代的な図書館「学びの杜ののいち カレード」や、冒頭に紹介した『ののいち椿館』などの見所も満載です。

金沢もいいですが、住みよさ1位ってどんなとこ? 室町時代からの歴史漂う街道って気になる? とにかく金沢カレーの聖地に行ってみたいわ~、そんなアナタ、ゆったり気持ちも落ち着く「野々市市」で気持ちもリフレッシュしてみてはー。

そして、市の観光物産協会も常駐していて、観光ボランティアガイドを頼むと『野々市宿』が100倍楽しめますよー。また、レンタサイクル(有料)もありますので、野々市には他にも見どころが沢山あるので、ゆったり周遊してもいいかも。こちらから観光ついでに『チャンピオンカレー野々市本店』にもひとっとびー!

■こちらでもオススメのお店などを紹介しています!

ブログ:https://www.hokuriku-curry.com/

Twitter: https://twitter.com/namasutee

1の1 NONOICHI(にぎわいの里ののいち カミーノ内)

〒921-8815 石川県野々市市本町2丁目1−21

*この記事は2020年9月時点の情報を基に作成しています。

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ライター:ナマステ

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