ALS患者とオンライン交流会 コロナ禍、難病支援に影響 今できる支援を模索

画面のALS患者らと交流する熊脇さん(左)と森本さん=長崎市内

 新型コロナウイルスは、難病支援にも影響を及ぼしている。難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者やその家族らを支援する日本ALS協会長崎県支部は、定期的に県内の入院や在宅の患者を訪問してきたが、新型コロナ感染防止のため直接面会ができなくなっている。代替策として、同支部はオンライン交流会を開始、今できる支援を模索し続けている。
 「お顔を見られて良かったです」。8日、長崎市内。同支部長の熊脇博治さん(77)と事務局長の森本典子さん(64)が画面に向かって明るく声を掛けた。この日、オンラインで集まったのは県内外の患者や家族、保健師など計14人。自己紹介後、別の難病患者会員が作った動画の感想を語り合った。最後に全員で「上を向いて歩こう」「サザエさん」の2曲を合唱。約1時間、参加者は終始笑顔だった。
 同支部は2006年4月に発足。今年4月14日現在の会員は、患者や家族、遺族、専門職など計60人。支部長らが入院や在宅の患者を訪問し、患者や家族の悩みや相談、体調の把握に努める。訪問によって得た患者らの状況を保健所などに伝えたり、年3回集いを開いて患者や家族同士の交流を図ったりしてきた。
 だが、新型コロナ禍で面会は制限。患者らの顔色や雰囲気が分かる面会を重要視する熊脇さんらにとって、直接会えないことは深刻な問題だった。「何か行動しないと」。そう思った熊脇さんらは昨年10月、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使った交流会を始めることにした。
 ALS患者の大桑泰彦さん(53)は県内の病院から交流会に参加。「ALS患者は一人では動けない。オンライン開催はとても便利」との感想をメールで同支部に寄せた。
 一方、支援の課題も浮かび上がる。同支部によると、コロナ禍で生きがいだった家族との面会が制限され、外出もできないため、体調不良になったと明かす入院患者や、メールでのやりとりはできるが、ズームの設定ができずに参加できない人もいる。
 同支部は「周りの協力者を増やし、支援の解決策を一緒に考えたい」としている。オンライン交流会は毎月第2土曜日に開く。問い合わせは同支部のメール(alsnagasaki@yahoo.co.jp)。

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