マツダ快勝の流れを変えたコーション。燃費モードで追いつくのは「不可能だった」とジャービス

 マツダ・モータースポーツでハリー・ティンクネルとともにIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権を戦うオリバー・ジャービスは、5月16日に行われた第3戦ミド・オハイオの決勝レースがグリーンのまま進み“燃料節約コンテスト”にならなければ55号車マツダRT24-Pが「間違いなく」勝利を手にしていただろう、と考えている。

 日本のスーパーGTでも活躍したジャービスは、チームメイトのティンクネルとともにミド・オハイオで今季シングルエントリーとなっているマツダRT24-P戦を駆り、最多72周をリードしたものの3位でレースをフィニッシュした。

 マルチマチック社製のDPiカーはこのレースの前半を支配し、同ラウンドでキャリア初めてのポールポジションを獲得したティンクネルは、最終的にレースを制したウェイン・テイラー・レーシングの10号車アキュラARX-05に対して13秒の大差をつけていた。

 しかし、彼らが築いたリードはレース時間残り1時間となったところで導入された唯一のフルコースコーション(セーフティカー/SC)によってかき消され、マツダ優勢の流れは断ち切られてしまう。

「(ティンクネルと交代し)クルマに乗り込んだ直後は好調だった」とジャービスはSportscar365に語った。

「タイヤの温度を上げ順調に進んでいたところにイエローコーションが出たんだ」

「このタイミングでのアクシデントは僕たちにとっては最悪だった。コーションが出る前に対応する時間がなかったんだ。その後、僕たちはSCラン中にピットに入りタイヤはそのままでコースに復帰した」

「(リスタート後は)ライバルが行っていた燃費走行と同じレベルでガソリンをセーブしながら、ペースを上げることはできなかった」

「そこに不均衡があるかどうかは分からないが、最後まで燃料を節約しながら31号車キャデラックDPi-V.R(ウェイン・テイラー・レーシング/2位)と10号車アキュラ(WTR/優勝)に追いつくことは不可能だったんだ」

「また、ユーズドタイヤでは、再スタートはまるで氷の上を走っているようだった。あれだけ燃料をセーブしながら走るとタイヤの温度が適正温度から外れてしまう。本当に大変な1時間10分だったよ」

ポールポジションからスタートし、レース前半を支配した55号車マツダRT24-P
ピットインした55号車マツダRT24-P 2021年IMSA WSCC第3戦ミド・オハイオ

■3戦連続の表彰台でランキング2位をキープ

 ジャービスは燃費走行のリズムを掴んだ後はマシンのフィーリングがとても良かったと述べたが、前を走るキャデラックとアキュラのペースには及ばず。最終的には優勝したリッキー・テイラーから13秒近く離されてのフィニッシュとなった。

「彼らにとってそれは本当に印象的なものだったろうね」

 ジャービスは優勝したWTRアキュラについてこのように述べ、「ウェイン(・テイラー)に『おめでとう』と言わなければならない。彼らには勝つための習慣が備わっている」と続けた。

「しかし、僕たちのマシンには勝てるペースがあっただけに残念だよ」

「レースが終始グリーンで行われていたら、僕たちが勝っていたと確信している。だが、そうはならなかった」

「コーションがどのようにして出されたのかは分からないが、(もしもグリーンのままだったなら)我々はフィニッシュにたどり着くために必要なアグレッシブな燃料節約戦略を取り、このレースで勝てたはずだ」

 今季初勝利は逃したものの、ジャービスとティンクネルはDPiドライバー選手権のランキング2位を守っている。選手権リーダーのテイラーとフィリペ・アルバカーキとのギャップは55ポイントだ。

 その点では「良い週末だった」とジャービス。

「僕たちはプラクティスでは苦労していて、そこから見事に立ち直るためにチームは素晴らしい仕事をした。そうしてポールポジションを獲得したんだ」

「我々はレースに勝てることを証明できた。残念ながらうまくいかなかったが、3レースで3回表彰台を獲得しているのだから、これからも結果を出し続ける必要がある」

キャリア初のポールポジションを獲得したハリー・ティンクネル
55号車マツダRT24-P 2021年IMSA WSCC第3戦ミド・オハイオ
オリバー・ジャービス(左)とハリー・ティンクネル(右)

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