【社長インタビュー】吉野杉の箸から海外進出 タオルの製造販売をする「株式会社中村」創業から現在まで①

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 奈良県で唯一のタオルメーカー、株式会社中村をご存知でしょうか?オリジナルブランドのDCL(Dream Cotton Laboratory)タオルは、高取町のふるさと納税の返礼品や、多くの企業・レストランなどで使用されています。

創業当時は、奈良県高取町で吉野杉を使った国産割り箸の販売を行う個人商店だったそうです。なぜ、割り箸の会社がタオルを作っているの?そんな疑問を、今年71歳になる社長の中村幸正さんに投げかけてみたら、中国とベトナムに工場進出をし、日本で初めてぞうきんの製品化を成功させたといった、おもしろいエピソードがたくさん聞けましたので、2回に分けて連載いたします。

株式会社中村の代表取締役・中村幸正さん

――創業されたのはいつでしょうか?

当社は、1947年(昭和22年)に私の父が、吉野杉の端材で作った割り箸の販売をする個人商店として創業したのが始まりで、今年で72年になるんですよ。若い頃は、父も箸職人をしていたと聞いています。1971年頃でしょうか。私は京都の大学に進学していたのですが、山岳部に所属していて、本格的な冬山登山などで全国を回ったりしていました。25歳になった時、父に仕事は半分で、あとは好きな山登りをしていればいいからとほだされて、吉野に帰って稼業を手伝うことになったんです。

――お父さんの策略にハマってしまったんですね。

まあ、そうですね。その頃父は、吉野の箸職人たちから箸を仕入れて、問屋や商店に卸す仕事をしていました。ちょうど高度経済成長期で、外食産業の拡大とともに大量消費時代になってきたことで、割り箸の需要が高まってきた時代です。箸職人からの仕入れでは間に合わなくなってきたので、中国の工場から仕入れたりもしていたのですが、思い通りの商品が出来てこないんです。そこで、国内で自社工場を作ろうと計画しました。ところが吉野では、働き手はみんな都会に出てしまっていたので、なかなか工員が集まらない。思い切って、中国に箸工場を作っては?と、父に提案してみました。

「吉野杉を製材するときの端材を使って割り箸を作ります」

――お父さんの反応はいかがでしたか?

大反対されました(笑)。毎日喧嘩です。当時、割り箸は家内作業で職人が手作りするのが一般的で、工場で大量生産をする業者は、奈良県にはありませんでした。しかも、海外に工場を持つなんて途方もないことに思えたのかもしれません。でも、私は学生時代から海外に山登りに行くなど、好奇心旺盛で新しいことが好きでしたから、中国に行くことには全く抵抗がありませんでした。

中国遼寧省大連市に独資工場、大連中村木業有限公司を開設

――中国に行かれるようになったのはいつ頃ですか?

1980年代に、何度も大連に足を運び、現地を視察しました。まだ人民服を着ている時代で、外資が参入することを、町をあげて歓迎していただきました。1995年に、念願の大連工場ができた時は嬉しかったですね。工員が300人の大きな工場でした。当時は中国の北方に白樺などの箸作りに適した木が豊富にあったんですね。ベトナムに工場を移すまでの12年間、アクシデントもたくさんありましたが、乗り越える度に会社も大きく成長し、今となっては楽しい思い出です。

中国大連の箸工場にて、箸袋に箸を入れている様子

――日本での販路も増やして行かれたんですね。

スーパーやコンビニ、業務用の箸を扱う問屋などへの営業も私が行っていましたよ。当時は社員が8人くらいでしたからね。2~3カ月に1回、1週間くらい中国に滞在し、日本での仕事も一人でこなしていたので、ほとんど家にいなくて、家族には寂しい思いをさせたかもしれません。

【中国大連の箸工場】丸太を切っているところ

――それは大変でしたね。大連からベトナムに工場を移されたのは、なぜですか?

中国で木の伐採が禁止になると聞いたからです。植林が間に合わず、木が足りなくなってしまったんですね。それで意を決して、ベトナムに移ったんです。ベトナムは、天然木材の伐採は禁止されていましたが、植樹した木の伐採はできます。1本切ると1本植林しているんですよ。ベトナムに工場ができたのは2007年です。日本の中小企業でベトナムに工場を作ったのは、うちが最初くらいだったと思います。

【ベトナムの箸工場】同じ長さに切った丸太をかつらむきする

――ベトナムは中国と比べてどうでしたか?

中国の工員さんは、奥地から出稼ぎに来る方が多く、仕事を覚えるスピードは速かったものの、1年で辞めてしまう人がほとんどで、人材を育てることが難しかったです。ベトナムでは、近隣に住む方がほとんどで、最初は教えるのが大変でも、長く勤めていただき、熟練した人材を育てることができたのがよかったです。

――気になるお話の続きは次回の記事でお伺いします!

DCL(Dream Cotton Laboratory)タオルってなに?

株式会社中村の営業部長・瀬川和久さんに、オリジナルブランドの「DCLタオル」について伺ってみました。

株式会社中村の営業部長・瀬川和久さん

「DCLタオル」は、浅野撚糸株式会社が開発した魔法の撚糸「スーパーゼロ」で織られたタオルです。普通の綿の糸と水溶性の糸の2本をよって作った糸は、お湯に浸けると水溶性の糸だけ溶けてなくなります。これを、「空気をよる」と表現しているのですが、DCLタオルがふんわりしている秘密でもあります。また、空気の隙間に水が入り込むため、吸水性と速乾性が一般のタオルより1.5倍あるのです。

商品展開は、ハンカチ、ハンドタオル、フェイスタオル、ハーフバスタオル、バスタオルの5種類で10色ある

パイル地が長いので、毛羽立つ可能性がありますから、洗濯してから使っていただいた方が良さを実感できると思います。洗濯を繰り返すほどふんわり感が増します。実際に、洗濯する前のタオルと比べると、洗濯を20回した後のタオルの方がふんわり感が増している実験結果もあるんですよ。一度DCLタオルを実感いただければと思います。

※この記事は取材当時の情報です。

■社  名 株式会社中村

■住  所 奈良県高市郡高取町丹生谷588

■TEL 0745-67-0065

■FAX 0745-67-2040

http://nakamura-nek.co.jp/