上越市 歴史的名家4邸 一斉公開  保存・活用推進へ ネットワーク立ち上げ、新たなスタート

 「上越名家一斉公開」の本年度初回が16日に開かれた。上越市内に残る個人所有の歴史的名家4邸を同じ日に公開するイベント。保存・活用を推進する組織「上越名家ネットワーク」を立ち上げ、新たなスタートを切った。

 参加する4邸は頸城区森本の白田邸、同区百間町の瀧本邸、三和区神田の林富永邸、同市戸野目の保阪邸。同ネットワークは昨年度に発足し、今年4月に設立総会を開き、本格的な活動を始めた。本年度はこれまでの春と秋に加え夏の一斉公開も実施する。

瀧本邸内の懐徳亭を案内する瀧本会長(右)

 歴史ある名家は建物や庭園が広大なため、公開に向けた手入れが大変で、特に今冬は豪雪の影響で苦労が多かったという。会長を務める瀧本家十五世当主、瀧本宜弘さんは「活動に協力する上越名家サポーターズクラブを募集しており、今後の維持管理の力になれば」と期待している。

明治天皇が小休止した座敷を移築した白田邸の「玉座の間」は、庭が見やすいよう障子の幅も工夫されている

 

保阪邸で迎賓館の役割を持った怡顔亭では和歌の軸や画集などが展示された

 各邸では当主や保存会のメンバーらが、訪れた人たちに歴史や建物の特徴、見どころなどを解説した。各家に伝わる調度品の展示や土産物などの販売、フリーマーケットなどそれぞれが趣向を凝らした歓迎を行った。白田邸を訪れた燕市の会社員、鈴木雅子さんは「(県内の)北方博物館や渡邉邸に行って、興味があったので初めて訪れた。玄関など広い造りの場所が多く、普段は公開されていない邸宅が見られて良かった」と話した。

 瀧本会長は「上越地域の観光、文化の拠点の一つになれば」と今後の目標を話した。

普段は入れない林富永邸の苔庭からかやぶき屋根の建物を眺める

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