田村正和さんが才能を見抜いた元SMAPメンバー2人 取材会ではお茶目な一面も

チャーミングな一面も持ち合わせていた

俳優の田村正和さんが4月3日午後4時20分、心不全のため都内の病院で死去したことが18日分かった。77歳だった。幅広い世代で支持された田村さんの代表作と言えば、やはり刑事ドラマシリーズ「古畑任三郎」(フジテレビ系)だろう。

1994年に始まり、96年と99年の第2、第3シーズンは平均視聴率25%超え。2006年の「ファイナル」で完結するまでの特番ドラマは26%を超えた。フジ関係者は「『古畑任三郎』を一部、生でやるという企画があったが、田村さんは生放送が苦手で、そのドラマ生出演は断られてしまった」と振り返る。

また田村さんは、マスコミのインタビューを受けない大御所としても有名だった。だが古畑人気に火がつき、フジが田村さんの取材会をセッティングしたことがある。それに参加した元テレビ誌記者が当時のエピソードを明かす。

「取材会をアレンジするのはめちゃ大変だったらしく、フジ側からは事前に『古畑任三郎のときしか会ったことがないけど、田村さん、怖い人だから』と釘を刺されました。ところが、実際は全く怖くない。受け答えはプロ中のプロで、どんなくだらない質問にも、微動だにせず真面目に答えてくれたのを思い出します」

聞けば、その場にいた記者たちは内心、田村さんに古畑任三郎風の喋りを求めていたという。「でも、そんなお願いは本人に絶対できないし、お願いしても笑われて終わり、と思って誰も聞かなかったんだけど、『皆さん、これを聞きたいんですよね?』と古畑任三郎をやってくれたんです」

この元記者によると、フジのスタッフは田村さんに〝失礼があったら大変!〟と思う余り、記者たちを脅しにかかっていたのかもしれないが「怖いどころか、めちゃ素敵なオジサマだった」という。

その「古畑任三郎」の中でも記憶に残るのはSMAPとのコラボは大変話題となった。1999年に放送された「古畑任三郎 VS SMAP」は視聴率30パーセント超えた。木村拓哉が古畑のものまねをしたことも話題となった。

田村さんは「役者という視点からSMAPを大変評価していた」というのはテレビ局関係者。

「謎に包まれ、気難しそうにも見える田村さんでしたが、実はとてもチャーミング。SMAPのことも『あれだけ売れているのに芝居もできて素晴らしい』と素直にびっくりしていらっしゃいました」(同)

古畑のものまねをした木村はもちろん、ブルーリボン賞主演男優賞、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を獲得し、役者としての活躍が目覚ましい草なぎ剛も「将来、良い役者になる」と見抜いていたという。

古畑任三郎は脚本家の三谷幸喜氏が「田村さん以外に考えられない」とリメークの可能性については否定しているが、番外編でSMAPの誰がが演じるなら…田村さんも天国から楽しんで観てくれるかもしれない。

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