衆議院選挙では、どのような属性の人が当選しているのか?(データアナリスト 渡邉秀成)

衆議院選挙が執行される時期が近づいてきました。国政選挙が迫るたびに有権者の投票率の低下等がマス・メディアから報道されます。その一方、どのような属性の人が当選しているのかについては、あまり報道されることがない傾向にあります。

そこで今回は、衆議院選挙ではどのような属性の人が当選しているのかについて観察していきたいと思います。
今までの当選者を思い浮かべて、そして実際にどのような政策が実行されてきたのかをチェックして、選挙で投票する際の参考資料にしていただければと思います。

まず、衆議院選挙の当選者の年齢についてみていきます。

衆議院選挙で20代候補者当選数は非常に限られます。第22回から第48回衆議院選挙まで年齢別当選者数をグラフ化したものが下記になります。

第22回から第48回衆院選まで年層別当選者数の変化を観察すると、若年当選者数が非常に限定されていることがわかります。

また20代以外の年層では当選者数が増加したり減少したりという変化が出やすいことがグラフからうかがえます。
国政選挙になると市区町村議員選挙と異なり、当選するためにはより多くの得票数が必要となるので、組織票等をまとめる必要がありますが、若年候補者の場合は、そのような票を集めるのが年齢的に難しい段階にあるのかもしれません。

また、諸外国と比較をすると、立候補する際に必要となる供託金が高額なため、その準備をするのが若年候補者の高いハードルとなっている可能性もあります。

そしてこのグラフを見ると、70歳代の衆議院議員が直近3回の衆議院選挙で増加していることもわかります。その一方、30代、40代の当選者が減少傾向にあることもわかります。

40,50,60代が衆議院議員を主に構成している年齢層であることがグラフからもわかりますが、世襲議員以外での若年当選者がもう少し増えることで、COVID-19のような未知の事態に遭遇した際に、多様な視点から物事を観察することで、国会で柔軟な対応ができそうな気がします。

上記グラフは折れ線グラフで年層別議員数をグラフ化したものですが、下記グラフで年層別議員数をみると、若年当選者が少ないことをより実感することができます。

 

上記ふたつのグラフで若年候補者の当選数が少ないことがわかりましたが、衆議院議員選挙当選者は新人、前議員、元職のどれが多いのかについてグラフ化したものが下記になります。

新人候補者より前議員のほうが当選者数が多いのがイメージできるのですが、グラフで表現すると圧倒的に前議員の当選者が多いのがわかります。

その一方、元議員である当選者数が少ないことも確認できます。
そして新人候補者よりも元議員のほうが当選者数が少ないことも見えてきます。直近の選挙で新人候補者の当選者数が伸びていることが確認できる第45回、第46回衆議院選挙は、それぞれ自民党から民主党へ政権交代した選挙(第45回)と、民主党から自民党へ政権が戻った選挙(第46回)です。

大きな変化があった選挙では、その後の選挙の際に新人候補者の当選者数が増える傾向がありそうです。

最後に当選者にはどのような職業が多かったのかについて見ていきます。

 

最も多いのが政党関係の職業についている人が多い傾向にあります。政治の現場について実地に学びながら、選挙に備えるということなのかもしれません。

当選者数のうちでは少ないのですが、医師、薬剤師、弁理士等の専門職国会議員が増えると、生命身体に関わる問題についての判断や、今後の情報通信技術等が進展する社会に対応しやすくなるのかもしれません。

変化の早い時代に対応しようとすれば、さまざまな政治的な知識、経験に特化したベテラン議員だけではなく、専門的な知見を持つしがらみが少ない議員が国会に多くなることが必要になるでしょう。

今回はどのような属性の人が衆議院選挙に当選しているのかについて観察してきました。

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