映画『ゾッキ』監督の竹中直人&山田孝之&齊藤工、愛知県横断舞台挨拶を実施!(2日目レポ)

愛知県蒲郡市出身の漫画家・大橋裕之氏の初期短編集を原作とした蒲郡市を舞台にした映画「ゾッキ」が、4月2日(金)より全国公開中だ。本映画の監督をつとめる竹中直人さん、山田孝之さん、齊藤工さんが3月27日(土)から28日(日)の2日間にわたり、合計10劇場での「愛知県横断舞台挨拶を敢行。本記事では2日目の様子についてお届けする。

【第六回目 イオンシネマワンダー】

『ゾッキ』発祥の地となる蒲郡市から愛知県へ、そして全国へ映画の魅力を伝えるべく実施する運びとなった今回の愛知県横断舞台挨拶。2日目を迎えた第六回目となるイオンシネマワンダーでの舞台挨拶では、竹中監督、山田監督、齊藤監督の3人が登場。

前日に続いての舞台挨拶ということで、「(昨日は)あっという間に終わっちゃった。とにかく楽しかったです。今日は雨模様の中お越しいただきありがとうございます。」と竹中監督。「愛知県がひとつになって、愛知発の映画ができたんだなと実感しました。」と明かす山田監督に続き、「個性豊かな市長たちにもお会いできて、たくさん名産品をいただきました。江戸時代みたい。」と齊藤監督が贈呈品についても触れると、山田監督は「全ての品が3つずつある訳ではなかったので、奪い合いですね。」と冗談も。場内にも笑いがおきていた。

SNS上で事前に寄せられた「3人で監督してよかったことは?」という質問が投げかけられると、竹中監督は「贅沢ですよね、楽しかったです。エピソードが融合するときに3人揃うんですけど、“本番、よーいスタート!”を誰が言うかとか、“カット”は工がかけて、とか。そういうやりとりをしている間、高校生みたいな気分になれました。」と3監督が揃った現場の裏話を披露。山田監督は「監督が代わるとカット変わりのタイミングとか、個性が出てくるので飽きないショートストーリーの連続になっていると思います。」とそれぞれが演出を手掛けたパート毎で映像の違いを楽しむ方法を伝授。齊藤監督は「撮影に入ると、インからアップまでノンストップで走り切るのが普通なんですが、他監督の撮影中に生まれる余白で自分のパートの準備もできて…健全な時間が生まれた現場でした。」と本作ならではの有意義な時間の使い方について言及していた。

続いて、山田監督に対して「笠原さんの全力疾走シーンは何テイク撮影したんですか?一発OKでしたか?」と具体的な質問が。「なんでそれが気になったんだろう(笑)」と驚きながらも、「たぶん1発OKだったと思います。」とテイク数を明かすと、齊藤監督に向かって「工くんは粘ってたね」とニヤリ。竹中監督も「もう1回、もう1回、もう1回…って。」と追い打ちをかけ、齊藤監督もタジタジ。「仕上がりの時に後悔したくなくて…時に鬼のようになっていました。雨のシーンで一番テイク数が多かったんですが、地元の方にも助けていただいています。」と地域に密着した撮影に助けられたことを明かしていた。

撮影時はCharaさんからいただいたという楽曲デモを流しながら撮影に臨んでいたという齊藤監督。竹中監督は「原作を読んでいる時にCharaの声が浮かんできて…絶対音楽をお願いしたいと思ったんです。サントラの発売も実現して…」とコメントすると、山田監督も「今回アナログも出せるので嬉しいですよね。」と本作に無くてはならない彩りを添える音楽についてのトークも盛り上がりを見せていた。

最後に、竹中監督は「じっくり2時間弱の映画です。ぜひ映画に浸ってください。」とイベントを締めくくった。

【第七回目 TOHOシネマズ赤池】

ほぼ蒲郡ロケで撮影された本作。原作にはまだまだエピソードがあるので、“続・ゾッキ”もできたら…という期待を口にする3監督たち。山田監督は「次は愛知県全土でロケができたら…原作であるマンガもぜひ読んでください!大橋さんの世界観を崩さないように映画化に挑みました。絵だからこその独特な世界を楽しんでもらえると思います。」と映画のみならず、原作マンガを愛知の人々に宣伝。溢れる原作愛について語りつつ、プロデューサーでもある山田監督は、自身と竹中監督、齊藤監督が着用するTシャツにも触れ、ヴィレッジ・ヴァンガードとコラボレーションした石鹸、サングラスなどのグッズ展開に関しても熱烈にアピールしていた。

眼福豪華な俳優陣が集まったことでも話題の本作では、3監督こだわりのキャスティングが実現。特に倖田來未さんは俳優といて演技するのは初挑戦だったとかで、演出を手掛けた竹中監督は「心から出てください、と誠実にお願いしました。とても楽しんで演じてくださいました。偶然にカニを見つけてカニにも出演してもらいました。まだ元気でいるかな〜?」と現場での突然の“カニ出演”秘話を明かしていた。山田監督は「初といば齊藤監督パート出演の九条さんもですよね?」と投げかけると、齊藤監督は「圧倒的存在感を放つ伴くんなので、チャレンジではあったんですけど、良かったですね。」と九条ジョーさん演じる伴くん像に自身をのぞかせていた。

SNS上で事前に寄せられた「それぞれの監督姿をみて真似をしたいと思ったことは?」と質問が飛び出すと、竹中監督は「みんな素晴らしかったから…やんなっちゃうな〜。とても面白い現場でした。これでまた続・ゾッキができたら…夢が膨らむお二人でした。」と、とにかく3人での共同制作を楽しんでいた様子。山田監督は「竹中監督はとにかく早いんです。ロケハンからどう撮るか決めていて…そこは真似すべきだなと。逆に工くんは、もう一回、もう一回、粘るんですが、それもまた真似したいんです。矛盾しているんだけど…早く粘る監督になりたいですね。」と2人の演出方法の違いに感嘆。齊藤監督はそれを聞き「早粘だね。」と新たな造語で応えるつつ、「竹中監督は原作を読まれた時にこの画をとりたい!とイメージされているようでした。山田監督もどうすれば現場がスムーズになるかといつも考えていらして…明確な支持が俳優・スタッフも大事なので勉強させていただきたいです。」と自身の反省点を述べながら2人の監督としての腕前を絶賛していた。

他にも、「アドリブはありましたか?」という質問に対して、「マンガが大好きだから脚本にも忠実にしていたんですが…カニだけかな。」と冗談めいた口調でコメントして場内の笑いを誘う竹中監督や、何かの勘違いで孤独を抱える藤村、というキャラクターを際立たせるため、自転車で自分探しの旅をする旅人役を演じた満島さんと松田さん演じるパートでは、お互いが旅に誘う流れを少し変えたという山田監督。さらに、「伴くんと牧田のシーンはほぼアドリブです。たまたま、壁ドンの進化系でカーテンにくるまって告白する、という他の映画のシーン観て採用したり…」と驚きの裏話を披露する齊藤監督など、なかなか聞けない裏話が満載の舞台挨拶は大盛況の内に幕を閉じた。

【第八回目 伏見ミリオン座】

第八回目となる伏見ミリオン座での舞台挨拶では「雨の中、観に来てくださってありがとうございます。楽しんでいただけましたか?」と、集まった観客へ向けて挨拶をし、大きな拍手が起こると「やった〜!」と喜びを爆発させる竹中監督。

SNS上で事前に寄せられた「Charaさんの音楽監督はいかがでしたか?」という質問が投げかけられると、「絶対にCharaに音楽をやってもらいたいと思っていました。最高の音楽を作ってくれたと思います。見事なサウンドトラックができました。」とCharaさんに音楽監督を直々にオファーした竹中監督は絶賛。実はCharaさんには内緒で一曲だけ、劇中の音楽にも関わっていたという山田監督は「1曲だけ、街の中に溢れる音を集めて音を作っていて…。Charaさんに黙ってのでどきどきだったんですが、“いいじゃん”と褒めてくださったので安心しました。」とまさかのエピソードを披露。齊藤監督は撮影現場でもデモを流していたそうで、「伴くんという物語に対してプレイリストを50曲くらい送ってくださって…。歌詞のない状態のデモを聞いていたんですが、それがすごくゾッキっぽくて。サントラには歌詞ありとなしの2バージョン入っているはずなので楽しんで欲しいです。」と撮影秘話とともに発売予定のサントラについてもアピールしていた。

映画を監督するにあたり、参考にした監督や尊敬している監督はいますか?といった質問が飛び出すと、竹中監督は「影響された監督はたくさんいすぎて…『八甲田山』の森田司郎監督とか。『赤頭巾ちゃん気をつけて』とか『初めての旅』とか大好きです。」と回答、一方で山田監督は「クリストファー・ノーランの『インセプション』を参考にしました。」と山田節で答え会場に笑いが。実は竹中監督の『無能の人』に衝撃を受けたという齊藤監督、「その竹中監督からのお声がけを頂いて…その残り香を持ち込んでいたかもしれません。」とすぐ隣にいる竹中監督へまさかの告白を。竹中監督は「ありがとう」と嬉しそうに笑顔を見せていた。

3監督での共同制作に挑んだ3人は、「やりにくかった事、やりやすかった事を教えてください」という質問に、「照れくさかったけど、新鮮な気持ちで現場に望めた幸せな時間でした。」(竹中監督)、「2人ともクリエイティブな活動をされているので、影響をうけすぎないようにしなきゃ…と思っていました。」(齊藤監督)、「3人それぞれリズムが違うので、いい違和感は出せたと思います。僕は初監督なので…これから悪い事に気づいていくかもしれませんね(笑)。」と回答するなど、終始貴重な話が盛りだくさんな舞台挨拶に。さらに、「ロケ地の蒲郡を感じ一文字で表すと?」という難題には、山田監督が「愛」、竹中監督は、急遽現場で出会い、劇中にも登場させたカニを思い出して「蟹」、齊藤監督は「伴」とそれぞれが答え、登壇者らは次の会場へ向けて伏見ミリオン座を後にした。

【第九回目 イオンシネマ常滑】

第九回目となるイオンシネマ常滑での舞台挨拶では、地域プレゼンターとして常滑市長の伊藤辰矢さんが登場。名産品として「招き猫と海苔」を登壇者の皆様に贈呈した。

つい先程行われた会見で愛知県の観光文化大使に任命されることが発表された3監督。改めての心境を聞かれると「感動しています。まさかこんなことが…緊張しましたが最高の時間を過ごすことができました。」と喜びを明かす竹中監督。山田監督は「『ゾッキ』がヒットすれば“続ゾッキ”を作れるかもしれないので…愛知県発の映画だと思っていますから。」と続編への意欲をにじませた。齊藤監督は「光栄で名誉なことです。」と感謝の気持ちを明かしながら、「不祥事を起こさないようにしないとですね。」と冗談で場内の笑いを誘っていた。

改めて、愛知と蒲郡の魅力を聞かれると、「最高です。3週間ほどいたんですけど居心地が良くて…。子供のころに感じた懐かしい匂いが残っていました。おこがましいけど、第二の故郷です。蒲郡に帰りたい。」と蒲郡愛を熱弁。山田監督は「たくさんハイボールを飲みました。空気、景色、人が違うからでしょうね、やっぱり東京で飲むのとは違うんです。」と冗談を交えつつも蒲郡での思い出話を披露。齊藤監督は、「劇中で伴と牧田も食べていたうずまきパンをお土産にいただいたんですけど、さきほど車の中で食べていて故郷の味を感じました。」と約1年ぶりとなる思い出の味を堪能した様子。その他にも、お弁当に添えられたメッセージカードや、ぬかるみにハマってしまったロケバスを助けてくれた地元の方々へと思いを馳せ、蒲郡の思い出に花を咲かせる一幕が。

SNS上で寄せられた「自分以外の2人の監督を映画の中にキャスティングするとしたら?」という質問について聞かれると、竹中監督は「孝之は“ハイボールをカウンターで飲んでる静かな男”を、工は“やたら背のでかい人”。」と即答。山田監督は「工くんは、めちゃくちゃテンション高い状態から素に戻る人。何やってるんだろう…という。竹中さんは…」と考え込んでいると、「酔っぱらいの役は〜?」と実際に演じながら本人から提案が。しかし、「そういうのいいんで」と一刀両断する山田監督の一言に場内は笑いに包まれた。齊藤監督は「山田監督と誰かが1対1で芝居するのを見てみたい」と明かしながら、実は竹中監督に対してはすでに原作に登場するエピソードでこれだ!というものがあるのだとか。「あえてどれとは言いませんが…」と齊藤監督が話しはじめると、山田監督も「ぜひ原作を読んで!面白いエピソードたくさんあるので。」と原作の面白さを猛アピールしていた。

地域プレゼンターとして登場した伊藤市長は「常滑市は古い町並みと新しさが交わるいい街です。ようこそ。」と3監督を歓迎。焼き物の街でもある常滑市が生産日本一を誇る「招き猫と海苔」を贈呈した。「左手が上がっている招きねこは人を招くんです。」と説明する招き猫には監督の名前や映画のタイトルも。さらに、「すぐ売り切れてしまう塩海苔なんです。ハイボールとよく合うと思います。」とあわせて持参した海苔を、ハイボールをよく飲む山田監督へPRしていた。

最後に、竹中監督は「観ればみるほど、深みが増す映画です。繰り返し映画館でみて欲しい。少しでも多くの人に広げてください。原作もぜひ読んでみてください。」と原作、映画ともにアピールしながらイベントを締めくくった。

【第十回目 刈谷日劇】

ラストとなる刈谷日劇での舞台挨拶では、地域プレゼンターとして苅谷市長の稲垣武さんと大あんまきで有名な藤田屋の社長藤田正悟氏が登場。名産品として稲垣市長からは「亀甲あられと杜若の装飾があしらわれた小箱」、藤田社長からは「大あんまき」を登壇者の皆様に贈呈した。

愛知県横断舞台挨拶のラストとなる刈谷日劇に登場した竹中直人監督、山田孝之監督、齊藤工監督の3人。2日間に渡る舞台挨拶の最後ということで、「最高の愛知県めぐりでした。」(竹中監督)、「映画をみてもらえる事が一番うれしいので、多くの人にみて頂けて嬉しいです。」(山田監督)、「これだけ立て続けに市長さんにお会いすることもないのですが、一周回って蒲郡の市長が推し市長になりました(笑)」(齊藤監督)とそれぞれがこの2日を振りかえりコメント。

SNS上で事前に寄せられた「撮影中のストレス発散方法は?休み中に何をされていましたか?」と質問が投げかけられると「毎日、夢をみているような日々でした。ストレスはなかったです。」と断言した竹中監督。山田監督は「(休みの日に)みんなでボーリングしましたよね。」とオフの日にみんなで楽しんだボーリング大会について言及しつつ、ストレスの発散については「ホテルの椅子の肘掛けを磨いてました。」と独特の感性でコメント。場内には笑いが起きる中、齊藤監督は「山田さんがプロデューサーとして現場をストレスフリーにしてくださっていたので…。」とストレスについては特に感じなかった様子を明かしながらも、「ボーリングの話、結構でるんですけど…。僕はそのタイミングでいなかったので…いたかったなぁと。いまストレスかもしれません。」と冗談まじりにボーリング大会に参加できなかった事を拗ねていた。

続いて「撮影中にみつけた蒲郡のいいところは?」と聞かれると、竹中監督は「すべてが画になる素敵な街。特に竹島がとても美しくて感動しました。暖かい日に行ったので2周も散歩しました。」と明かすと、山田監督が「自転車のシーンでお邪魔したラグーナ。いい思い出です。」と続き、齊藤監督は「東京には無い、なんでもないんだけど、素敵な景色がたくさんありました。ロケ地マップもあるので、映画を通して特別な場所になるといいなと思いつつ、誰にも教えたくない、自分だけの、という思いもちょっとあるので…複雑ですね。」とコメント。ロケ地について盛り上がる中で、映画の中で使われたロケ地のひとつとなった道場は、取り壊し予定があったにも関わらず、映画で使用されたことをきっかけにその予定がなくなる可能性も出てきているらしい、という驚きのエピソードも飛び出した。

地域プレゼンターとして登場した苅谷市長の稲垣氏は「三河湾がみえたり、緩やかな時間で心温まる映画でした。歴史もあり自然もある刈谷市です。撮影の候補市のひとつにぜひ!」と映画についてもコメントしつつ、刈谷市をアピールした。

27日(土)、28日(日)と2日間に渡り愛知を横断、計10劇場を巡って舞台挨拶に臨んだ3監督たち。齊藤監督は「横断は一段落ですが、『ゾッキ』はこれから始まります。愛知から新しいカルチャーが生まれる歴史があると聞いているので、この、得体の知れない、新しくてどこか身近な映画『ゾッキ』が愛知から広まる醍醐味を感じています。愛知の力をお借りした作品です。これから、ますますのお力添えをお願いします。」と全国公開へと意気込みを新たにし、山田監督は「ゾッキ、面白かったよ、と小さな声でいろんな人に囁いてください。」と最後まで作品をPR。竹中監督は「初めて原作を読んだとき、大橋さんの描く世界に感動しました。この想いに2人が賛同してくれて、大橋さんの生まれ故郷でこの映画を撮影するというロマンチックな体験ができたと思っています。本当にありがとうございます。これからも『ゾッキ』をよろしくお願いします。」と改めて感謝の気持ちを述べ、2日間に渡り敢行され怒涛の愛知県横断舞台挨拶は無事に幕を閉じた。

27日の舞台挨拶の様子は「映画『ゾッキ』監督の竹中直人&山田孝之&齊藤工、愛知県横断舞台挨拶を実施!(1日目レポ)」で紹介しているのでそちらも合わせて是非チェックしてほしい。

◆『ゾッキ』作品概要

漫画家の大橋裕之の初期短編集「ゾッキA」「ゾッキB」を原作に、竹中直人、山田孝之、齊藤工の三人が映画監督として共同制作をした映画。

およそ30編の傑作短編作品が収録されている「ゾッキA」「ゾッキB」の中から多数エピソードを織り交ぜて構成し、ありふれた日常に巻き起こる、不思議な笑いに包まれた、なんだかわからないけど、きっとあなたの明日を楽しくする、唯一無二のヒューマンコメディ映画。

◆公式ホームページ

https://zokki.jp/

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