井岡一翔ドーピング問題で明らかになった「JBCの不手際」

会見を行った井岡一翔

日本ボクシングコミッション(JBC)は19日、ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32=Ambition)の問題について、昨年大みそかの試合後にドーピング検査で大麻成分に陽性反応を示した問題をについてオンラインで記者会見を行った。

会見では4月下旬に設立した外部有識者で構成される倫理委員会が「違反を認定することは困難である」とJBCの永田有平理事長に答申したことを報告。会見を行った倫理委の貞弘賢太郎弁護士は「井岡選手から採取されたA検体から大麻成分が検出されたとされたが、『偽陽性』の疑いが強い」と説明した。

A検体への簡易検査で大麻成分が検出されたが、尿を採取した試合当日から最初に検査を行うまでに数日あり、「その間、冷凍保存されていなかったことによって検体が腐敗し、それが『偽陽性』を引き起こした可能性がある」と指摘。それを受けて行われたB検体への精密な検査では、大麻成分は検出されなかったという。

そのB検体への検査ではJBCに規定される禁止薬物のエフェドリン、フェネチルアミン、チラミンが検出されたものの、「これについても、検査の担当者や複数の専門家から、検体の腐敗により細菌の増殖や代謝した影響が否定できないとの見解が示されている。これまでも場当たり的な保管などが行われてきた。ずさんだった」。検体の管理体制に問題があったとした。

また選手の要求に応えるためにB検体を再検査可能な状態で保管しておかなければならないにもかかわらず、すべて警察に押収されるなど不手際が露呈。「JBCの検査手続きに瑕疵があった」として、倫理委員会からドーピング規定の整備、強化をJBCに提言した。

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