“マサ”と“カズ”  田村正和さんを支え続けた2人の「相棒」

愛妻家だった田村正和さん

4月に心不全のため死去した田村正和さん(享年77)には「マサ」と「カズ」、2人の“相棒”がいた。「マサ」は、人気ドラマシリーズ「古畑任三郎」(フジテレビ系)で共演した西村まさ彦(60)。「カズ」は、結婚生活50年超の姉さん女房・和枝(かずえ)さんだ。「金婚」の妻とは“隠れおしどり夫婦”で知られていたという。

「古畑――」では、主人公の警部補・古畑任三郎(田村さん)が部下で巡査・今泉慎太郎(西村)の額を「ペチッ!」と叩く姿がウケた。まさに名コンビだった。

西村は19日、「作品、役に向き合う真摯でストイックな姿勢。多くのことを学ばさせていただきました。田村さんには感謝の気持ちでいっぱいです」と追悼コメントを発表した。

テレビ局関係者は「田村さんには、『正和』という自身の名前と同じ『マサ』と『カズ』、2人の“相棒”がいたと言われました」と指摘する。

「マサ」は、西村(本名雅彦)だ。

「『古畑――』の大ヒットの要因は、田村さんの好演と三谷(幸喜)さんの卓越した脚本はもちろん、おっちょこちょいの今泉を演じた西村さんの存在感もありました」(前出関係者)

もう一人の“相棒”は「カズ」の妻和枝さん。社長令嬢で、1970年に2人は結婚した。

「田村さんは仕事してバリバリ稼ぎ、和枝さんは妻として夫を支える、当時の典型的な夫婦関係でした。私生活を一切公開せずミステリアスな田村さんでしたが、和枝さんのことを愛してやまない愛妻家。“隠れおしどり夫婦”とも称されたんです」(同)

田村さん夫妻には一人娘がいる。その長女の2001年春の結婚式で、田村さんが涙したことを当時、一部で報じられた。

長女の入籍後、和枝さんは妻としてだけでなく、“マネジャー”の役割を果たすようになる。

「田村さんは20代のころに個人事務所を設立しました。和枝さんは、娘さんの01年の挙式から半年経ち落ち着いたあたりから、事務所の役員として本格的に稼働。身の回りのサポートや事務所の財務で田村さんを支えました」(同)

19日発売の「女性セブン」によると、田村さんは03年、女優で故竹内結子さんと共演したフジ系ドラマ「新ニューヨーク恋物語」(04年放送)の米・ニューヨークの撮影で和枝さんを同伴したという。これは、仕事と私生活を完全に切り離した田村さんには珍しいことで、妻に現地でサポートしてもらうとともに夫婦水入らずの時間を海外で満喫したかったという。

昨年、結婚50年の「金婚」を迎えた。その生涯を終えるまで、寡黙な名優は妻を愛し続けたようだ。

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