沖縄県民「早くワクチンを」 長引く自粛、疲労蓄積

 県内の新型コロナウイルス新規感染者が初めて200人を超えた19日、県内ではワクチン接種などを求める声が上がった。まん延防止等重点措置では感染拡大が止まらず、県は国に緊急事態宣言を要請した。長引く自粛に経済的、精神的な疲労が蓄積している。 読谷村の松田昌次さん(71)は「高齢者にとっては1年以上、地域の集まりもなく、精神的にもつらい状況だ」とこぼす。今後はさらに交流が難しくなる恐れがあり「若い人は車で(感染対策をしながら)出掛けられるが、高齢者はそうではない。早めにワクチンが行き届いてほしい」と願った。沖縄市の40代男性は「気晴らしで外にも出られず疲れる。高齢者以外も早く打てるようにしてほしい」と求めた。

 豊見城市豊崎で客待ちをしていたタクシー運転手の玉城栄一さん(64)は、経済的な影響を心配する。コロナ禍の影響で給与は会社からの持続化給付金を足しても月10万円に満たず「苦しい」と漏らした。緊急事態宣言の要請に踏み切った県の判断に「でき得ることは、やっていると思う」と一定の評価をしつつも、「もっと早く(緊急事態宣言を)要請した方が良かった」と決断の遅さには疑問を呈した。

 八重山の医療を守る郡民の会の大山剛事務局長(76)は、「石垣市では若者の感染が広がっているので一人一人が責任を持って対策をしなければならない。竹富町の離島の住民はコロナを恐れ石垣島に買い物に行くのにも苦労している。今回の対応で収束してほしい」と述べた。

 那覇市の島袋トミ子さん(80)は、医療従事者の娘から「外出を控えて」とたびたび注意されるという。医療従事者のことを思うと緊急事態宣言の発令は仕方がないと感じる。一方、公設市場で働く友人から新型コロナによる経営悪化の話を聞き、「商売をしている人たちがより苦しい状況になるんじゃないか」と心配する。「みんな生きなきゃいけない。緊急事態宣言の要請について簡単に良いとも悪いとも言えない」と思いを語った。

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