『シェフたちのコロナ禍』苦悩する料理店のリアルな声を拾い集めた本

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『シェフたちのコロナ禍』

2020年の春、緊急事態宣言下で苦悩するシェフたち34人のリアルな声をまとめた一冊、新刊です。「道なき道をゆく店主たち」は、その時どのように決断したのか。食と酒をテーマに料理人や生産者などを取材する著者が伝えます。

シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録
著者:井川直子
出版社:文藝春秋

緊急事態宣言下、人気店のシェフたちが苦しい胸の内を吐露する。休業するのか営業を続けるのか。何が正解かわからないまま、シェフたちはそれぞれの答えを出していく。形態もジャンルもさまざまな34店のリーダーたちが語る言葉を著者は丹念に拾い集め、コロナ禍で果敢に前に進もうとする人たちの姿を伝えます。

その声はあまりにも苦悩に満ちていて胸が痛くなるけれど、今できることを精一杯やろうと、知恵とアイデアを絞り出し、果敢に新しい挑戦をする店主たちにこちらが励まされもするのです。

「食で、世の中の幸せ指数を増やしたいんだってことがわかりました」「言うべきことは言って、みんなで大切なものを守りましょうよ」「世のなかの変化に応じて、僕らも変わる準備をしておこう」。とびきりおいしい料理で人を喜ばせてきたシェフたちの言葉はどんなときでもポジティブで優しい。業界みんなで乗り切っていこうという強い意志とともに、取り残されてしまいそうな店をなんとか守っていきたいという切実な思いが伝わってきます。

彼らの「その後」(2020年10月)も語られています。試行錯誤を繰り返すなかで、シェフたちは確実に前に進んでいました。料理を作り続けながらコロナ禍の先にある世界を希望ととともに見つめています。

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。

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