ジャングルでボノボ観察中に落木負傷、下半身不随 京大院生だった女性、大学側に損賠求めるも請求棄却

京都地方裁判所

 アフリカで霊長類の観察中に落木を受けて下半身不随になったとして、京都大大学院生だった女性(29)と夫(32)が、大学と指導教員だった男性教授に計約2億7400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(井上一成裁判長)は20日、請求を棄却した。

 判決によると、女性は京大大学院理学研究科生物科学専攻に入学し、2015年7月、コンゴ(旧ザイール)でボノボの行動観察をしていたところ、樹上でボノボ同士のけんかが発生。長さ90センチ、重さ10.8キロの落木が女性を直撃して胸髄損傷などの重傷を負い、後遺症が出た。

 判決理由で井上裁判長は、木々が生い茂るジャングルでは落木の発生地点や落下軌道を正確に把握するのは困難な上、本件は落木が別の木に当たって落下方向が変わっており、「事故を予見、回避できる可能性はなかった」とした。

 訴訟で原告側は、男性教授が女性にヘルメットを持たせず別行動をとり、京大は学生らに安全の周知を徹底していないと主張していた。原告弁護団は「深刻な障害を負った学生が見捨てられるようでは、大学の教育機関としての在り方が根本的に問われる」として控訴する方針。

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