パラメダリストや障害者 願い込め 津山で聖火リレー、夢や希望を

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「スポーツの力で県民が少しでも前向きになれば」と祈る新田佳浩さん

 岡山県を舞台にした東京五輪聖火リレー2日目の20日、県北の拠点・津山市にランナーが集った。コロナ禍が暮らしに影を落とす中で力を与えたいと願うパラリンピックのメダリスト、同じ苦しみを持つ仲間の気持ちを背負った障害者、難病と闘う弟を励ましたい中学生…。参加したランナーたちは万感の願いを込めて聖火をつないだ。

 障害者スキーパラリンピック金メダリストの新田佳浩さん(40)=西粟倉村出身=は土砂降りの雨でも笑顔を絶やさず、農機具に挟まれて肘から先を失った左手を振り上げて鼓舞した。「スポーツが持っている力で、県民が少しでも前を向いてくれれば」と祈っていたという。

 目が不自由で、介助者に付き添われて参加した奥西敦子さん(77)=津山市在住。同じ障害がある仲間と一緒に応募し、自分が選ばれたという。「みんな苦労しながら頑張っている。その気持ちを代表してこの場に来た」。聖火をつなぐと表情を緩ませ、ガッツポーズで喜びを表現した。

 津山市立久米中3年中野望羽さん(15)=同市在住=の弟は腎臓病のネフローゼを患う。聖火リレーへの参加は「ランナーをやりたがった弟の願いをかなえ、喜ぶ顔が見たかった」からだ。岡山県内の最終ランナーとあって少し緊張した面持ちで聖火皿に点火。大きな炎が燃え上がり、無事にフィニッシュした。

 「コロナ禍でつらい思いをしている人がいる中、五輪やパラリンピックがみんなの夢や希望になるよう大切に聖火をつないでください」と呼び掛けた中野さん。同じように岡山県内で聖火を引き継いだ167人は歴史に、記憶に、その姿を刻んだ。

同じ障害がある仲間の気持ちを背負って参加した奥西敦子さん
難病を患う弟を励ましたいと手を挙げ、岡山県の最終ランナーを務めた中野望羽さん