【新型コロナ】インド株の感染例、20日は同時に3自治体で確認 市中感染の懸念拡大

 20日の日本全国における新型コロナウイルスの新規感染者は5,717人(23時現在)と高止まりを続けているが、この日、感染力が強まっているとされるインド由来の変異株への感染例が各地で相次いで報告された。数は少ないが、大都市圏から地域への広がりを疑わせるような動きとなっており、感染再拡大の引き金となる懸念が消えない。

大阪府、千葉県、広島市で確認

 新規感染者が連日1,000人を越える状態からは脱し、ピークアウトしたとみられる大阪府。それでも20日の新規感染者は501人、死亡者32人となり、とても感染状況が落ち着いたとは言い難い状態だ。そんな中この日の感染例の中で1例のみだが、インド株への感染例が報告された。4月下旬に発症した60代男性で、ここ数ヵ月の海外渡航歴はなく感染経路が不明となっており、市中感染の可能性を否定できない状態。府内のインド株感染例としては2例目だが、1例目との関連もない。

 また同日20日、千葉県では、県内で初めてインド株の感染例が6例確認された。20代から40代の男女6人でいずれも軽症、すでに治療・療養を終えたとしているが、いずれも海外渡航歴はないと報告されておりこちらも市中感染の疑いが否定できない。

 さらに広島市でも20日、1人がインド株に感染していたと確認された。こちらはインドからの帰国者で、5月初旬に陽性が判明し国立感染研究所がウイルスのゲノム解析をしていた。中国地方の自治体でインド株の感染例が確認されたのは初めてとみられる。接触者への検査は終えているがその結果は発表されていない。

 いずれも明らかな市中感染の証拠となる例ではないが、空港検疫のみで確認されていた状態から東京都、大阪府、そして地方中核都市での感染確認と確実に地域的な広がりを見せている。また先日水際対策が強化されたが、これまで空港検疫を終えた帰国者、入国者の3割が検疫当局の追跡連絡に反応していないという事実を考えれば、現時点で市中感染していないと否定することも困難だ。感染再拡大を防ぐため、国と自治体がインド株をはじめとした変異株への対策をさらに強化できるのか、改めて注目される。

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