【追う!マイ・カナガワ】道路に突如現れた五輪表示 コロナ禍、開催へのアピール?

県立保土ケ谷公園サッカー場近くの道路に現れた、「TOKYO2020」の文字とバスのマークの路面表示=横浜市保土ケ谷区

 4月下旬、近所の道路に突如現れた「TOKYO 2020」の文字。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、五輪開催をアピールしているの…? 横浜市保土ケ谷区に住む男性会社員(41)から「追う! マイ・カナガワ」取材班に疑問が寄せられ、記者も教えてもらった現場に行ってみた。

 男性が見つけた場所は、五輪の練習会場となっている県立保土ケ谷公園サッカー場の近くだ。記者が車で向かうと、片側1車線の細い道にピンク色の表示がぽつんとあった。バスのイラストも描かれている。

 実際は写真よりも細長く見え、意識していないと見落としそう。男性は「電車のマークに見えて、表示の目的が分からず家族で気になっていた」と不思議がる。政府が五輪開催への決意を示したのだろうか…。

◆文字までは読み取れず

 記者はサッカー会場の日産スタジアム(同市港北区)にも車を走らせた。

 スタジアム脇の片側3車線の大きな道路でも表示を発見した。ただ、時速60キロほどのスピードでは文字まで読み取るのは難しい。気が付かないまま通過しても問題ないの?

 東京五輪・パラリンピック組織委員会に聞いてみた。

 「路面表示は選手や大会関係者の輸送ルートを周知しています。大会中の通行や駐車を控えてもらうために設置しています」

 輸送ルートとなる一般道では4月から約900カ所に路面表示(長さ3.6メートル、幅0.45メートル)をはじめ、今後は同じデザインの看板(縦約60センチ、横約50センチ)を約1200枚設置する。高速道路には昨年2月から大きめの看板約800枚を設置しているという。言われてみれば、首都高速などで見かけた気もする。

◆利用控える「お願い」

 県内の一般道では記者が出向いた2カ所のほか、横浜スタジアム(同市中区)や三ツ沢公園球技場(同市神奈川区)周辺などで路面43カ所、看板約80枚を設置予定という。

 ただ、見慣れぬ表示に遭遇すると焦ってしまいそうだ。しかも保土ケ谷公園サッカー場の近くは片側1車線だから、大会中は使えなくなるの?

 組織委に確認すると、通過しても罰則はなく、スムーズな大会運営のために一般利用を控える「お願い」だという。これとは別に、競技会場周辺では大会直前から道交法に基づいた交通規制も行われる。

 疑問を寄せた男性は「コロナ禍で急に現れたので、余計に意図が気になった」と話していたが、そう感じる市民は少なくないのでは。路面表示に限らず、7月23日の五輪開幕に向けて都内や県内でさまざまな工事が進んでいるものの、果たして本当に開催できるのだろうか。

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