「朝青龍がいた時から変わらない」朝乃山〝キャバ謹慎〟の根底に高砂部屋問題

厳罰が予想される大関朝乃山

「お騒がせ横綱」の系譜ということか。大相撲夏場所(東京・両国国技館)のさなかに発覚した大関朝乃山(27=高砂)のキャバクラ外出騒動が拡大している。「文春オンライン」で規則違反を報じられた大関は12日目(20日)から休場し、現在は謹慎中。角界内では出場停止の懲戒処分が有力視されており、3場所以上の厳罰が下される可能性が高い。一方で元横綱朝青龍(40)の現役時代から続く高砂部屋の〝負の遺産〟を指摘する声も上がっている。

日本相撲協会が定める新型コロナウイルス対策のガイドラインでは、本場所2週間前の番付発表から千秋楽までの4週間は不要不急の外出を原則禁止している。「文春オンライン」は朝乃山が夏場所前にキャバクラ通いをしていたと報道。相撲協会の事情聴取に対して当初は「事実無根」と全面否定していたが、その後の再聴取では一転して規則違反を認めた。

芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は「週刊誌(文春)の記事と本人の聴取の内容にそごがあったので再度、本人と師匠(高砂親方)に話を聞いた。それでも本人はなかなか首を縦に振らなかったそうだが、いろいろと話を聞いて突き詰めていったら本人が認めた」と経緯を説明。その上で「非常に遺憾。協会の看板を背負っている本人が(取組に)穴を空けたことは重大な不祥事」と断罪した。

今後はコンプライアンス委員会が調査後に処分案を取りまとめ、理事会で正式な処分を決定する。処分内容を決める上で一つの物差しになるのが、幕下阿炎(27=錣山)のケースだ。昨年7月場所中にキャバクラ通いが発覚。問題行動の常習犯だったことも加味されて「出場停止3場所」などの処分が科された。その結果、番付は幕内から十両を経て幕下まで降下している。

それでは、朝乃山の場合はどうか。角界関係者は「大関だし、軽い処分はあり得ない。ウソをついたのは間違いなく大きな減点材料」と指摘。〝初犯〟であることを差し引いても、厳罰は免れそうにない。角界内で有力視されているのが、阿炎と同じ出場停止処分だ。期間は最短でも3場所、一部では6場所の〝超厳罰〟もささやかれているという。もはや、大関陥落は大前提。良くて十両転落、最悪の場合は関取の地位さえも失うことになる。

一方で、規則違反と虚偽報告が明るみになったことで、朝乃山への風当たりは厳しさを増している。親方衆の一人は「もともと自覚がなかったということ。その時の勢いで大関に上がっただけ」とバッサリ。別の親方は「あの部屋は朝青龍がいた時から何も変わらない。師匠が甘やかしているから、弟子にもナメられる」と先代師匠(元大関朝潮)から現師匠(元関脇朝赤龍)へと続く部屋の体質を問題視した。

元朝青龍は巡業休場中のサッカー騒動など数々の問題行動を起こし、最後は暴行騒動で引退した。その「悪童」と朝乃山ではタイプが異なるとはいえ、問題の根にある部分は同じというわけだ。

大横綱の白鵬(36=宮城野)に代わる新世代の横綱が待望される中、有力候補の一角が土俵外の軽率な行動で資格を失うことになった。こんなことではコロナ禍で〝強行開催〟に突き進む東京五輪と同様にファンの心が離れ、世間の興味も失っていく一方だ。

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