ザアザア型に備える

 雨の呼び名はいろいろある。例えば「白雨(はくう)」は明るい空から降る夕立で、「黒雨(こくう)」は黒い雨雲から降る大雨を言うらしい。梅雨にも明と暗、陽と陰があることを「季節の366日話題事典」(東京堂出版)で知った▲梅雨は〈シトシト型の陰性梅雨と、ドカッと降ってカッと照るザアザア型の陽性梅雨〉に分けられるという。どちらも梅雨の前期に現れやすく、「シトシト型」は東日本、「ザアザア型」は西日本に多い、と事典にある▲のちに〈カッと照る〉から陽性梅雨と言うのだろうが、どんよりした空を仰げば、その名がどうもしっくりこない。きのう県内は荒れた天気になり、佐世保市で5月としては最も多い1時間雨量を記録した▲史上2番目に早い梅雨入りだったが、急ぎ足のまま、もう本番なのかどうか。これが5月の空模様かと、つい疑い、豪雨の時期も前倒しにならないかと、つい案じる▲こんな時こそ胸に刻みたい。災害の危険がある時に市区町村が出していた「避難勧告」が廃止され、「避難指示」に一本化された。勧告、つまり「お勧め」では避難せず、結局、逃げ遅れる例がこれまで絶えなかったという▲ドカッと降るザアザア型にどう備えるか。避難グッズも大切だが、何よりも情報を注視する目と、身を入れて聞く耳が“必携”に違いない。(徹)

© 株式会社長崎新聞社