糸魚川市官製談合事件 市職員逮捕で陳謝  米田市長「誠に遺憾」

 官製談合防止法違反などの疑いで、糸魚川市都市政策課建築係長、久保田雅樹容疑者(48、同市大野)、公契約関係競売入札妨害の疑いで猪又建設(同市大町1)の営業部長、古川浩容疑者(69、同市寺町5)と営業係長、佐々木将容疑者(32、同市寺島1)が19日夜、県警に逮捕された。同市押上の新駅公衆トイレ整備工事に関わる事件。市役所で同日午後9時ごろから20日午前0時すぎまで家宅捜索が行われた。市職員の逮捕を受け、20日午前10時から、米田徹市長による臨時記者会見が開かれた。

市職員逮捕を受けおわびする米田市長(中央)と市幹部

 市職員逮捕という事態に米田市長は、深々と頭を下げ陳謝。該当職員、逮捕容疑、市の対応などについて説明した。「全体の奉仕者として法令等を順守し、市民の模範となる立場であるべきところ、市民の皆さんの信頼を損ねる不祥事を起こしたことは誠に遺憾」と話し、「事実関係を把握した上、厳正に対処する」と述べた。

 警察の捜査には全面的に協力するとし「重く受け止め、事件発生に至った要因を徹底的に究明し、市職員一丸となって再発防止を図り、市民の信頼回復に全力で取り組んでいく」と誓った。

 質疑応答で、市長の監督責任や進退について、米田市長は「これからどのような形でこれが進んでいくのか分からない状況。私としてもどのような対応をして良いか戸惑いもある。ただ単に驚いており、本当に遺憾の思い」などと心境を話した。

 市と市経済界のトップ・猪又史博糸魚川商工会議所会頭が社長を務める建設業者との官製談合事案に、道義的責任を問われた米田市長は「今の段階では何とも言えないが、結果が明確になった時、そういったところにも及ぶかなと思う」と言及した。

 1月26日に執行予定だった市庁舎トイレの改修工事入札をめぐり、不正の恐れがあるとして延期・中止になった事案との関連について、五十嵐久英総務部長は「今回の逮捕の容疑となった押上新駅の整備工事との関連があるかどうかは、現段階では全く分からない状況」などと説明した。

 逮捕を受け糸魚川市は20日付で、猪又建設に対し入札参加資格者の指名停止等の措置を行った。期間は11月19日までの6カ月間。

市民・職員 憤り、懸念、困惑

 市は職員逮捕について市ホームページの掲載と安心メールの配信で市民におわびと説明をした。市内在住の70代女性は「まさか糸魚川でこんなことが起こるなんて。市民は真面目に働いて生活しているのに。もう市は信用できない」と憤った。同じ庁舎で働く職員は「(逮捕に)驚いた。行政職員として自分たちもどう見られるのか」と懸念した。

 市は21日午後に市議会議員への説明会を開く。市議会は25日の臨時会後に全員協議会を開く予定。ベテラン議員の一人は「綱紀粛正が求められる中、当市職員の逮捕は誠に残念。行政の監視は議員の役割。責任を持って追及する」と話した。

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