浅草「デンキヤホール」ソース焼きそば発祥の地で味わう!名物オム巻とゆであずき

旅人へひとこと

実は浅草は、ソース焼きそば発祥の地でもあるんです。大正時代から変わらない味わいをぜひお試しください!

はじめまして。焼きそばブロガーの塩崎と申します。焼きそばというと一般的には家で食べるものというイメージが定着しています。しかし、焼きそばを売りにしている飲食店も、世間にはそこかしこに隠れているんです。個性的な焼きそばを探し求めて日本全国津々浦々、果ては海外にまで足を延ばし、訪れた店は1,000軒を超えました。

そんな私が、『ニッポンごはん旅』への栄えある最初の投稿で紹介するのは! 東京は奥浅草、千束通りに店を構える『デンキヤホール』さんの「オム巻」です。

『デンキヤホール』の創業は明治36年(1903年)。日露戦争が開戦する前年です。

創業した当初、デンキヤホールは電気器具の修理店でした。創業者は日露戦争に出兵し、復員したあと電気屋から甘味喫茶へと業態を転換します。お兄さんを日露戦争で亡くしたこともあって、女性や子どもにもできる商売をと考えたそうです。最初期に提供していたのは「ゆであずき」「甘酒」「しるこ」などの甘味類。のちに軽食も扱うようになりました。

現存する最古のソース焼きそば「オム巻」!

その『デンキヤホール』で食べていただきたいのが、「オム巻」です。ソース焼きそばを玉子で包んだ、いわゆる「オムそば」ですね。中細の深蒸し麺とキャベツを中華鍋で炒め、甘めに味付けしたソース焼きそばをまず作ります。それを薄焼き卵で巻いて、トマトケチャップを添えれば完成です。卵の黄色にケチャップの赤が映える、見た目も愛らしい焼きそばなんです。

「オム巻」を提供開始したのは、大正時代の初期のこと。三代目夫人の杉平淑江さんは、初代の創業者からそのように伝えられているそうです。大正時代初期といえば、今から100年も昔のこと。実はこの「オム巻」が、私が知る限りで最古のソース焼きそばなんです。また、他のいろいろな資料や証言から、ソース焼きそばは浅草で生まれたと私は考えています。

そんなに古くからソース焼きそばがあったのか、それを玉子で包むことがありえたのか。私の著作、『焼きそばの歴史<上>ソース焼きそば編』というKindle本で、徹底的に検証してあるので興味のある方はご一読ください。

宣伝はそのくらいにして、「オム巻」に話を戻しましょう。

「オム巻」には、日本三大七味と呼ばれる薬味が付いてきます。お馴染み信州は八幡屋礒五郎。京都・原了郭の黒七味。そして地元浅草のやげん掘。どれを選ぶかはあなた次第。ケチャップの甘い味わいに、ピリッとした刺激が加わって、最後まで飽きさせません。

デザートは「ゆであずき」で決まり!

食後のデザートには、『デンキヤホール』のもう一つの名物、「ゆであずき」をどうぞ。「ゆであずき」というと缶詰に入った商品を想像されるでしょうけど、こちらは甘い汁の底に砂糖で炊いた小豆が沈んでいるんです。江戸時代から屋台で売られていた甘味だそうで、『デンキヤホール』では創業以来の人気商品。「オム巻」も「ゆであずき」も、代々受け継がれてきた伝統の味なんです。

浅草には、知られていない奥深い魅力が、まだまだ潜んでます!

東京都内に住む方なら、一度や二度は浅草を訪れたことがあると思います。また、地方から東京観光に来られる場合も、浅草は定番コースです。雷門に演芸ホール。和蕎麦、天ぷら、もんじゃ焼き。しかし多くの定番スポットは、浅草のごく限られた一面でしかありません。

観光客で賑わうエリアから一歩踏み込んだ奥浅草の『デンキヤホール』は、この町に暮らしてきた方々が代々愛用してきたお店です。知られていない浅草の側面を、垣間見たいのならこういうお店がオススメ。運が良ければ女将さんや常連さんから、浅草の裏話を訊き出すことができますよ。

外国人観光客の少ない今こそ、浅草が狙い目ですよ!

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デンキヤホール

〒111-0032 東京都台東区浅草4丁目20−3

*この記事は2020年10月時点の情報を基に作成しています。

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ライター:塩崎省吾

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