今週は東京競馬場でオークス(芝2400m)が行われる。
無敗の二冠馬に向け連勝街道を突き進むソダシ。その見た目も相まってアイドルホースのような立ち位置にもあるが実力は本物だ。もちろん「ストップ・ザ・ソダシ」を目論む陣営も虎視眈々。樫の女王決定戦にふさわしいメンバーが揃った。
データ面から今年のオークスを過去10年のデータ分析から攻略への糸口を見つけていきたい。
◆【オークス2021/後編・穴馬データ攻略】想定10番人気の穴馬、トレンド血統が示す「0-2-2-2」の“買い”要素
■無敗の白毛馬・ソダシに死角はあるのか?
デビューから無傷の5連勝。年明け初戦に選んだぶっつけ本番の桜花賞はレコード勝ちと、勢いがとどまることを知らないソダシ。
最大のライバルと目されたサトノレイナス不在の今回。女傑に死角なしと思われるなか、ここではふたつのデータを取り上げたい。
・クロフネ産駒の東京芝2400mのGI成績【0-0-2-10】
カレンチャンやスリープレスナイトなど、GI馬には優れたスプリンターの名前が並ぶクロフネ産駒。15年以上にわたってターフに活躍馬を輩出し続けるものの、いまだ東京芝2400m重賞における連対はゼロ。この事実は見逃せない。
12頭すべて連対外のインパクトは強いが「人気を裏切った」と言い切れるのは13年オークスの4人気12着クロフネサプライズぐらい。他はフタ桁人気馬が多く、そもそも勝負圏内に位置しない馬。数字を鵜呑みにするのは危険かもしれない。
続いて、こちらのデータ。
・オークス1番人気かつ前走上がり3F3位以下の成績【2-1-0-0】
白毛馬という背景もさることながら、無敗の実績から1番人気濃厚のソダシ。
過去10年の1番人気馬を紐解くと、マルセリーナとミッドサマーフェアが馬券圏外に敗れ、ハープスター、デニムアンドルビーが差し損ね。その一方でソウルスターリングのような先行タイプが勝利を収めていたのだ。
人気×脚質のかけ算で捉えたとき、大きく評価を下げるほどではない……そんなジャッジを下すことができるだろう。
◆【オークス2021/追い切りジャッジ・有力馬編】ソダシを上回る「S」評価、「別馬レベル」で桜花賞から巻き返しに虎視眈
■アカイトリノムスメの壁「桜4着以下の関東馬」
そのソダシのライバル筆頭と言えるのがアカイトリノムスメ。
3連勝で臨んだ桜花賞は4着。距離が延びるオークスは父ディープインパクト、母アパパネ、そして母父キングカメハメハが制した春の東京芝2400m。「金子馬」の結晶ともいえる血統背景を武器に逆転をうかがう1頭だ。
2週連続GI勝利中のC.ルメールを背に樫の女王の座を射止めたいところだが……不吉なデータが重くのしかかる。
・桜花賞4着以下の関東馬【0-1-0-23】
馬券圏内に入ったのはルージュバックただ1頭。桜花賞4着以下から臨む関東馬は壊滅的な状態にあるのだ。
サトノレイナス回避により、ソダシ逆転の筆頭候補にあるアカイトリノムスメ。立ちはだかるマイナスデータは気に留めておくべきだろう。
後編ではデータ面から浮上するオークスの穴馬候補2頭を紹介する。
◆【オークス2021/後編・穴馬データ攻略】想定10番人気の穴馬、トレンド血統が示す「0-2-2-2」の“買い”要素
◆【オークス2021/データ傾向】アカイトリノムスメやククナらに不安要素、桜花賞組の巻き返し条件
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。