<金口木舌>「逃げ恥」と家事の分担

 大ヒットしたテレビドラマと同じ結末になった。県出身の俳優・新垣結衣さんと俳優の星野源さんが結婚を発表した。2016年放送の「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」で「契約結婚」する夫婦を演じ、1月のスペシャル版でも共演した

▼新垣さん演じる女性が家事代行の給与をもらいながら、恋愛経験ゼロの男性と「契約結婚」をするラブコメディー。「無償」(ただ働き)の家事を「有償」と捉えた視点が新鮮だった

▼家事にかかる時間を外で働いたと仮定した内閣府の試算がある。女性1人当たり年間193万円。専業主婦の場合は304万円だった(2016年)。いかに家事負担が女性に偏っているかが分かる

▼家事に追われ、フルタイムで働きたくてもパートや派遣社員を選択せざるを得ない女性もいる。介護も女性に偏りがちで、家庭の役割の大きさはどの世代でもついて回る

▼欧米は男女で家事を分け合う。スウェーデンは男女とも残業がない働き方が確立している。だが県内の家庭で家事を担うのは「主に妻」と答えた人は約8割に上る(「県民意識調査」)。いつまでも「ただ働き」を放置してはいられない

▼「逃げ恥」のスペシャル版は、夫婦で家事を分け合い男性が調理器を駆使しスープをつくる場面がある。家庭内で小さな「働き方改革」の実践を見る思いがした。これは見習いたい。もちろん夫婦で。

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