優勝争いを左右する? 史上最多ペースの“引き分け数”が与える影響

ここまでは楽天と西武の8引き分けが12球団で最多【写真:荒川祐史】

1982年には史上最多19分けを記録した中日が優勝

2021年のプロ野球はここまで各球団が40試合強を消化した。新型コロナ禍の中で試合延期などもありながらも、各球団が戦いを進め、5月下旬からは2年ぶりの交流戦がスタートすることになる。

今季は新型コロナウイルスの影響で9回打ち切りとなり、延長戦は行われない。そのため、各球団ともに引き分け数が多くなっている。5月16日にはプロ野球史上初めて4試合が引き分け決着に終わる珍事も発生。ここまで計262試合が行われ、38試合が引き分けで終わっている。

今季はセパ両リーグ共に、この“引き分け”数が優勝争いの行方に影響を与えそうだ。プロ野球の順位数は「勝率」で決まる。勝率は引き分けとなった試合を除いた試合数から勝利した割合で算出するため、引き分けの数が勝率に大きく影響を与える。

実際に、この“引き分け数”が優勝争いの行方を左右したケースもある。1982年のセ・リーグである。この時のプロ野球は延長戦で、3時間を過ぎて新しいイニングには入らない、というルールで行われ、セ・リーグを制した中日は64勝47敗19分け、勝率.577だった。この19引き分けは、プロ野球史上最多引き分け記録だ。

シーズンの最多引き分け試合数を遥かに上回るペースで進む2021年シーズン

この年、2位だった巨人は中日よりも2勝多い66勝をあげたものの、50敗14分で勝率.569。さらに3位の阪神も65勝で勝利数では中日を上回ったものの、57敗8分の勝率.533。負けないことの重要性、引き分け数の持つ大きな意味をこのシーズンが証明している。

これまでの引き分け試合数の歴代最多は東日本大震災の影響で3時間半を超えて新たな延長イニングに入らなかった2012年で計74試合。前年の2011年も56試合と多く、この年はセ・リーグの2位ヤクルトと3位巨人、パ・リーグの3位西武と4位オリックスが引き分け数の差で勝利数と順位が“逆転”している。

今季は262試合を消化した時点で38試合が引き分けで、このままのペースで行くとシーズン終了時には、これまでの最多を遥かに上回る124試合が引き分けになる。ここまで楽天と西武の8分が12球団で最多。7分がソフトバンク、ロッテ、オリックス、巨人、ヤクルト、中日で、最も少ない阪神は2分となっている。

ファンにとっては何ともスッキリしない決着となる引き分けではあるが、今季はその持つ意味が例年以上に大きくなりそうなだけに、ポジティブに捉えてみてはどうだろう。143試合を終えた時、この“引き分け”がペナントの行方にどんな影響を与えるか注目だ。(Full-Count編集部)

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