【追記】ローソンが規定違反で失格に。ティクトゥムが繰り上がりで優勝。佐藤万璃音はリタイア【FIA-F2第2戦モナコ レース2】

 5月22日(土)、2020年FIA-F2第2戦モナコのスプリントレース2(決勝レース2)が開催され、リアム・ローソン(ハイテックGP)がトップチェッカーを飾るもレース後に、スタート時のスロットルマップが規定違反と判定され失格に。2位でフィニッシュしていたダニエル・ティクトゥム(カーリン)が今季初優勝となった。日本の佐藤万璃音(トライデント)はリタイアとなった。

 モンテカルロの天候は雲が多く晴れ間も垣間見れるが、朝方に雨が降り路面はウエット。気温16.6度、路面温度18.7度。レース周回数は30周でタイヤ交換義務はないものの全車ウエットタイヤでスタートするため、レース中のタイヤ交換が予測される。またレースの制限時間は45分だ。

 スターティンググリッドは決勝レース1のリザルトが反映され、さらに上位10台にはリバースグリッドが適用される。レース1で10位だったマーカス・アームストロング(ダムス)がポールポジションとなるが、レコノサンスラップのラスカスでマシンがストップしてしまいピットレーンスタートに。ポールのマシンがグリッド上にいない状態となり、2番手のリアム・ローソン(ハイテックGP)が実質の先頭で、以下オスカー・ピアストリ(プレマ・レーシング)、テオ・プルシェール(ARTグランプリ)となった。

 現地時間8時20分、日本時間の15時20分にフォーメーションラップが始まり、トラクションがかかりづらいなかで全車が加速を開始した。3番グリッドスタートのピアストリが蹴り出しに成功しトップへ浮上。ローソンは5番手スタートのダニエル・ティクトゥム(カーリン)にも並びかけられるがポジションを死守。後方ではアウト側からターン1へ進入したジャンルカ・ペテコフ(カンポス・レーシング)が佐藤との接触により弾き出されウォールにクラッシュ、リタイアとなってしまう。

 さらに波乱は続く。苦渋のピットレーンスタートとなったアームストロングはマシントラブルが深刻なようで、ターン1先のサンデボーテ教会前のエスケープにマシンを止め4周目にリタイア。これによりバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入されるが1周待たずに解除となった。

 その直後はトップ2台がデッドヒートを展開。5周目に2番手のローソンがヌーべルシケインの進入でピアストリにブレーキング勝負を挑むが両者のタイヤが軽く接触しここでは追い抜けず。だがローソンはピアストリの背後にピタリとつけ、ラスカスの進入でピアストリのインにマシンをねじ込みアントニーノーズで首位を奪還した。

 トップに立ったローソンはピアストリとの差を着実に広げ、9周目には3.841秒差をつける。またコース上はレコードラインが出来上がりつつあるなか10周目、佐藤がターン1を曲がりきれないと判断してかエスケープにマシンを逃す。しかしこれがトラブルのようでここでマシンを降りてしまった。

 これに伴い2度目のVSCが導入。このタイミングでユニ・ヴィルトゥオーシの2台、周冠宇とフェリペ・ドルゴヴィッチが順番にピットインしドライタイヤに交換。2台がコースに復帰したタイミングでVSCは解除され、12周目のラップタイムはトップのローソンが1分38秒台、周とドルゴヴィッチは2分4秒から8秒台となる。

 想定以上にペースが遅いと判断したユニ・ヴィルトゥオーシは14周目、周がピットインしタイヤをふたたびウエットに交換。1周ラップダウンの最後尾でコースに復帰することとなり、果敢な挑戦は失敗に終わってしまった。翌周にはドルゴヴィッチもピットインしている。

 15周目、ハイペースで走行していたティクトゥムがピアストリとの差を一気に詰めてヌーべルシケイン前で2番手に浮上。トップのローソンよりも0.6秒以上速い1分35秒679というファステストラップで快走していく。

 レース1とは打って変わってアクシンデントが続く。18周目には14番手を走行していたクリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)がミラボーで曲がりきれずブレーキングをするも正面からウォールへぶつかりマシンをストップ。2レース続けてのリタイアとなってしまった。

 20周目、首位のローソンよりも時に1秒以上速いペースで走行していた2番手のティクトゥムがついに追いつき一触即発のバトルへと発展。乾いてきたエリアが増えつつある路面状況のなかウエットタイヤをいたわる頭脳戦が展開される。

 後方では6番手争いが激化。レース1で初の表彰台を獲得したロイ・ニッサニー(ダムス)がヌーベルシケインのブレーキングで6番手のラルフ・ボシュング(カンポス・レーシング)を捕らえるがオーバーラン。ラスカス手前でボシュングを先行させるが後方からリチャード・フェルシュフォー(MPモータースポーツ)、ユアン・ダルバラ(カーリン)も迫る。

 23周目、ニッサニーがターン1を通過した先のウォールに左リヤを接触。直後はレースペースで走行するもダメージが影響しリタイアとなってしまう。その直後24周目にはターン1で12番手を争っていたデイビッド・ベックマン(チャロウズ・レーシング・システム)とベント・ビシュカール(トライデント)が接触し2台はコース上にマシンをストップ。これによりセーフティカーが導入された。

 ビシュカールは自走し復帰するもベックマンのマシン回収に2周を要した。レースは27周目から再開となるも、制限時間が迫ったことで残り2周となった。ローソン、ティクトゥム、ピアストリ、SC前にプルシェールをミラボーで攻略していたビップスのオーダーで各車ターン1を通過する。ビップスのペースがよくピアストリに仕掛ける雰囲気を見せるがこのラップでは追い抜きならず。

 最後まで余力を残していたローソンは2番手ティクトゥムよりも5秒速い1分32秒950を記録し今季2度目のトップチェッカー。2位にティクトゥム、3位にはビップスの猛攻をしのぎきったピアストリが入った。

【追記】
 レース後、ローソンがレーススタートの際に規定と異なるスロットルマップを使用していたことが判明。規定ではフォーメーションラップとレーススタート時は1速のスロットルマップを時速50km/hに達するまで使用することが義務付けられているが、レース後にローソンのマシンのデータを確認したところ、スタート時のスロットルマップは規定と異なるものが使用されていた。そのためスチュワードはローソンに失格の判定を下している。

 これにより順位がそれぞれ繰り上がり、優勝はティクトゥム、2位にビップス、3位はピアストリとなった。ポイントランキングは周が56ポイントで首位変わらず。優勝となったティクトゥムは2番手の38ポイント、3番手には3位入賞に繰り上がったピアストリで34ポイントとなっている。

FIA-F2第2戦モナコ レース2:トップチェッカーも規定違反で失格となったリアム・ローソン(ハイテックGP)

 フィーチャーレース(決勝レース3)は日本時間5月23日(日)の深夜0時15分からスタートする。

■FIA-F2第2戦モナコ スプリントレース2(決勝レース2) リザルト

Pos. No. Driver Team Time/Gap

DQ 7 L.ローソン ハイテックGP 28Laps

1 5 D.ティクトゥム カーリン 8.068

2 2 O.ピアストリ プレマ・レーシング 8.833

3 8 J.ビップス ハイテックGP 9.240

4 10 T.プルシェール ARTグランプリ 10.169

5 21 R.ボシュング カンポス・レーシング 14.336

6 11 R.フェルシュフォー MPモータースポーツ 16.449

7 12 L.ツェンデリ MPモータースポーツ 21.452

8 6 J.ダルバラ カーリン 23.962

9 22 J.エイトケン HWAレースラボ 24.378

10 1 R.シュワルツマン プレマ・レーシング 47.293

11 24 B.ビシュカール トライデント 1’11.957

12 23 A.デレッダ HWAレースラボ 1Lap

13 15 G.サマイア チャロウズ・レーシング・システム 1Lap

14 4 F.ドルゴヴィッチ ユニ・ヴィルトゥオーシ 2Laps

15 3 周冠宇 ユニ・ヴィルトゥオーシ 2Laps

— 14 D.ベックマン チャロウズ・レーシング・システム DNF

— 16 R.ニッサニー ダムス DNF

— 9 C.ルンガー ARTグランプリ DNF

— 25 佐藤万璃音 トライデント DNF

— 17 M.アームストロング ダムス DNF

— 20 G.ペテコフ カンポス・レーシング DNF

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