「いのりの日」前に住民ら清掃 島原・大火砕流30年

被災車両の展示などもある定点周辺を除草する参加者=島原市北上木場町

 消防団員や報道関係者ら43人が犠牲となった雲仙・普賢岳噴火災害の大火砕流から30年になる6月3日の「いのりの日」を前に、地元住民らが22日、遺族や関係者が慰霊に訪れる島原市北上木場町の北上木場農業研修所跡周辺を清掃した。
 一帯は大火砕流に襲われた水無川流域に位置し、消防団員の詰め所だった同研修所跡、報道陣が撮影ポイントにしていた「定点」、災害後に建立された雲仙岳災害記念碑がある。普段は立ち入りが制限されている砂防指定地内で、3日の「いのりの日」などの際には開放され、遺族らが追悼の祈りをささげに訪れる。
 清掃には地元の安中地区の住民や市の関係者ら計約60人が参加。定点の周辺、被災現場に通じる当時の生活道路「柿の木坂」などで、生い茂った雑草を鎌や機械で刈り取る作業に約1時間半ほど汗を流した。
 安中地区町内会連絡協議会の阿南達也会長(83)は「犠牲者が出た過去をかみしめながら、ここを災害学習と祈りの場として守っていきたい。地元のみんなの気持ちは同じ」と話した。

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