阪神首位快走の裏で低迷・ロハスに降格危機…交流戦DH構想、助っ人枠〝アウト〟

低迷する阪神ロハスに降格の危機が迫っている

これも首位を走る強いチーム特有の生存競争の厳しさか。阪神の新助っ人、メル・ロハス・ジュニア外野手(30)が二軍落ちのピンチに立たされている。8日のDeNA戦でデビュー後、7試合で打率1割を切る大ブレーキ。一方で、今季は8人体制で臨む外国人選手も一軍最大5枠のイスを競争で勝ち取ることが義務づけられており、昨季の韓国リーグMVP男にも例外なく、降格危機が訪れている。

47本塁打、135打点で昨年の韓国リーグ二冠王に輝いたロハスが「壁」にぶち当たっている。新型コロナ禍により、来日したのは4月に入ってから。隔離期間を経て、同月下旬から二軍で9試合、調整後、8日のDeNA戦で一軍デビューした。だが、ここまで7試合で27打数2安打、1本塁打、3打点、打率7分4厘と結果を残せず。本人も何とか打開したい気持ちが強いのだろう。

広島3連戦が延期となり、サンズやマルテなど同僚助っ人が軽めの調整で切り上げるなか、助っ人野手で唯一、鳴尾浜でのウエスタン・リーグに22、23日と2試合連続で志願の出場。両日で左右合計6打席立ち、23日には5回に中日のドラフト1位新人・高橋宏の150キロを弾き返し、右前にクリーンヒットを披露した一方で、その前の3回一死満塁の打席では松葉の直球に詰まり一飛に倒れるなど、一進一退の状況だ。

本人は「タイミングの修正に重点を置き、集中して打席に臨むことができた」と振り返ったが、映像で確認した矢野監督は「(状態は)そこまで変わっているとは思わない。怖さというか長打も期待しているので、もっとああいう(右前打のような)当たりを増やしてほしい」と注文をつけた。

4月下旬のデビュー以降、一、二軍の実戦を通じ、すでに合計60打席以上を消化。首脳陣のロハスへの〝見立て〟も軌道修正を余儀なくされそうだ。左右両打ちで長打が期待できる前評判もあっただけに、井上ヘッドコーチも「すごい結果があるなら、二つ返事でロハスで行きますと言えるところだけど、ちょっと…」と明かす。当初、ロハスには、日本の投手に慣れる期間として約1か月の〝助走期間〟をかけ、交流戦での「指名打者(DH)起用」から本領発揮を期待する構想を描いていたが、当面は右投手にはベテランの糸井、左投手には陽川が、虎のDH枠の一番手となる見込みだ。

さらに交流戦のDH枠から〝漏れる〟ことで、助っ人の一軍枠からも外れる可能性も浮上する。

23日現在、一軍の助っ人編成はロハスに加え、マルテ、サンズの野手3人、アルカンタラ、スアレスの投手2人の布陣。この5枠に、現在は抹消中で、先発で5勝のガンケルも近々、一軍復帰する見込み。ロハスが再調整に回る可能性も決して不思議ではない状況だ。

今季在籍の助っ人では最も期待値の高いロハスだけに、首脳陣にとっても、ここまでの不振は予想外。とはいえ、この程度の計算違いでチームの大勢に影響が及ばないのも、裏を返せば、今季の選手層の充実ぶりを物語っているとも言える。

今後、首脳陣がロハス抹消の選択肢を決断したとしても〝見切った〟わけではなく、捲土重来を期待した決断となりそう。ロハスにとっても、次の1か月での打席は一、二軍の働き場所に関係なく、助っ人勢の生存競争を生き抜くうえでも、さらに大きな意味を持つことになりそうだ。

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