こんにちは。イタリア在住ゆきのです。キャンプに行くと周りの人の持っているギアが気になることはありませんか。友人とのキャンプでも、お互いの持ち物を見せ合ったり、借りて使ってみたりしながらギアの話で盛り上がる人も多いはず。今回は、その中でもお泊まりキャンプに欠かせない〝テント〟に絞り、イタリアの友人たち4人に愛用テントを選んだ理由とその使い心地を聞いてみました。
アウトドア大人気のヨーロッパ こだわりのギアは長く愛用され知識や技術とともに子へと受け継がれる
イタリアはじめ、ヨーロッパ各地ではアウトドア慣れしている人がいっぱい。聞いてみると「生まれた頃から背負われて行っていた」なんて言うくらい、小さな頃から自然に親しみ、親に教えてもらいながら、その知識と技術を受け継いでいるような印象です。
例えば、1歳にも満たない子どもを背負って山に連れて行くのは日本ではあまり見慣れない光景かもしれませんが、ヨーロッパでは良く目にします。
比較的軽く安心感のあるベビーキャリアを使って、日常的にアウトドアを楽しむことが浸透しているように思いました。
バックパックメーカーとしてアメリカでスタートしたオスプレー社のベビーキャリアは安定性抜群。サンシェード(UPF50+)も標準装備で強い日差しから子どもを守ってくれますよ。
そんなアウトドア好きなヨーロッパの人たちは、持っているものにもこだわりが強い!最新のものだけでなく、長年愛用しているもの、親から引き継いだものなど、持ち物もユニークです。
特にテント泊の翌朝は、寒かった、汗をかいた、よく眠れた、寝心地が悪かった、服が湿っている、、、などなど、ギアによって快適さにも差を感じるもの。
テントについても「使い心地はどう?」なんてことを聞きたくなっちゃう! 要はベテランたちの持ち物に興味津々になるわけです。
ちなみに、筆者がよく使っているのはアウトドア好きの義父が25年ほど前に買ったというイタリアメーカー、Bertoni(ベルトーニ社)のテント。
年季が入っていますが、かなり丈夫! しかし重いのがちょっと…。周りの最新テントを横目で見てしまいます。
そこで今回は、一緒にキャンプした4人の仲間たち(ベテランキャンパー)のテントについて聞いてみました。
【ベテランキャンパー1】150年の歴史を誇るイタリア・フェリーノ社の3人用テント「カラハリ 3」を愛用
まずは「カルロさん」愛用のテントをご紹介。イタリアを代表するブランド、1870年創業・フェリーノ社の3シーズン用テント「FERRINO KALAHARI 3(フェリーノ カラハリ 3人用)」です。
【簡単プロフィール】
●山に入ったら1週間以上出てこない。
●スウェーデンの北極圏トレイルなどもソロキャンプしながら縦走するベテラン。
●木材DIYも得意。
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2017年。
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クオリティに信頼あるイタリアの有名メーカーから、友人らと3人で使えるものが欲しかったため。
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インナーシートの風通し用メッシュは一部のみ。大部分がポリエステルで、フライシートが地面までしっかりと着くため、内部の熱を保ってくれる。つまり、3シーズン用とはいえ寒さにも強い。
出入口が2つあり、2人で使用すれば中に荷物も入れられるので、2人でちょうど良い大きさ。約25,000円の価格相応だと感じている。
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3人用とはいえ、前室が1つしかないので荷物が多いと3人での使用は難しい。寒さに強い分、夏の蒸し暑さには弱い。3kg以上あるのは重いが、2人以上で使用することを想定しており、他の荷物は相方に任せるなどして重さを分け合えれば問題ない。
【FERRINO KALAHARI 3(フェリーノ カラハリ 3人用)スペック】
〈総重量〉3.35kg
〈サイズ〉
●設営時:幅180cm×奥行210cm(+前室:80cm)×高さ130cm
●収納時:長さ47cm×直径14cm
〈材質〉
●フライシート:70Dダイヤモンドポリエステル(防水力PU2000mm)
●フロアシート:70Dポリエステル(防水力PU2500mm)
●ポール:グラスファイバー
〈カラー〉グリーン
日本で売られているフェリーノ社のテントには、上記と似た仕様で前室が2つに増えているタイプのものがあります。
【ベテランキャンパー2】ドイツ・ファウデ社2人用テント「タウルス II」をソロキャンプで20年以上愛用中
「マルティーノさん」のテントは、ドイツの経験豊富な登山家により1974年に設立されたファウデ社の3シーズン用テント「VAUDE Taurus ll(ファウデ タウルス 2人用)」です。
【簡単プロフィール】
●愛用テントでアイスランド1か月以上など、長期キャンプも楽しむソロキャンパー。
●植物にかなり詳しい。
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2000年。
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アウトドア用品に定評のあるドイツの有名メーカーから、ソロキャンプ用に長く使えそうなものを選んだ。
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設営が素早く簡単にできる。防水力に優れ、比較的低い構造のため風にも強く安心。1か月の長期キャンプ旅や登山にいつも持って行く相棒的な存在で、“ヤドカリ”と名付けて20年以上愛用してきた。
期待以上に長く使用できて満足している。そろそろ新しいテントに買い替えを検討しているが、(購入しても)家の中に吊るして飾っておくつもり。
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重さ3kgと重く感じられるが、現行品は2.6kgとより軽くはなっている。2人用とはいえ出入口が1つしかなく、幅が狭いため、1人+荷物での使用に最適。
【VAUDE Taurus ll(ファウデ タウルス 2人用)スペック】※現行品
〈総重量〉2.60kg
〈サイズ〉
●設営時:幅(入口130cm~奥95cm)×奥行230cm(+前室:90cm)×高さ95cm
●収納時:長さ50cm×直径17cm
〈材質〉
●フライシート:75Dポリエステル(防水力PU3000mm)
●フロアシート:75Dポリエステル(防水力PU5000mm)
●ポール:6061アルミニウム合金
〈カラー〉モスグリーン、buckeye
日本において上記と全く同じモデルを探すのは難しそうですが、材質が改良され、軽量化されたファウデ社のテントは購入可能です。
【ベテランキャンパー3】香港・ルクセアウトドア2人用テント「ハビタットNX3」を愛用
「アレッサンドロさん」愛用テントは、香港のアウトドアブランド・ルクセアウトドアの「Luxe Habitat NX3(ルクセ ハビタット 2人用)」です。出入口&前室が2つずつある3シーズン用テント。
【簡単プロフィール】
●生まれた頃から父親に担がれてアウトドアに親しみ、ネパールでトレッキング40日間などアウトドア経験も豊富。
●焚き火が大好き。料理も得意。
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2013年。
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2人用で出入口と前室が2つずつあるという点が、実用的で広そうに感じられたため。
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ポールが1本という構造なため、組み立てが素早く簡単にできる。出入口が2つあることで、友人と利用する際にそれぞれが邪魔することなく出入りできて便利。
さらに双方にある前室は荷物を置くのに十分な広さがあって気に入っている。風通しも良い。寝る際、特に頭に圧迫感がないのも嬉しい。2kg強で重すぎず、コスパが素晴らしい。
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インナーシートのナイロンメッシュがあまり丈夫ではない。アルミのペグは軽いが心細い感じもする。風通しが良い分、寒い場所にはあまり向いていない。
【Luxe Habitat NX3(ルクセ ハビタット 2人用)スペック】
・総重量:2.20kg
・サイズ
設営時:幅135cm(+前室:左右に各70cmずつ)×奥行210cm×高さ112cm
収納時:長さ48cm×直径16cm
・材質
フライシート:210Tナイロン リップストップ(防水力PU1500mm)
フロアシート:210Tナイロン(防水力PU4000mm)
ポール:7001高強度アルミニウム
・カラー:グリーン、パープル、オレンジ、デザート(茶)
【ベテランキャンパー4】お手頃価格で注目の中国・ネイチャーハイク2人用テント「モンガー2 」を愛用
「フィリッポさん」愛用テントは、リーズナブルな価格で日本でも注目されている中国のアウトドアブランド・ネイチャーハイク「Naturehike Mongar 2 (ネイチャーハイク モンガー 2人用)」です。
【簡単プロフィール】
●朝のランニングや本格的なサイクリングで鍛えられ、駆け上がるような脚力で山も軽く登っていくほど体力に自信あり。
●料理上手で食(しょく)へのこだわりも強い。
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2020年。
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登山も視野に入れて2人用の軽量テントを探していたところ、2kgという軽さとコンパクトな収納力に惹かれた。
前室が2つあり、価格2万円弱とコスパも高そうだったため。
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出入口が2つあって両方開けることで風通しも良いし、インナーがメッシュなので虫よけにもなる。靴や荷物が置ける前室も2つあって、2人で使っても中が十分広く気に入っている。
軽量なのに加え、ポールとシートを分けて収納することで、シートがリュック内でかなりコンパクトになるのも魅力的。設営も簡単にできる。
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フライシートが地面に軽く着く程度なので、下からスース―と少し風が入ってくる。かなり寒い場所には向かないかもしれないが、良い寝袋とマットを持っていれば大丈夫。
メッシュのインナーシートの代わりに、冬用シート(別売)を付けるという選択肢もある。
【Naturehike Mongar 2 (ネイチャーハイク モンガー 2人用)スペック】
〈総重量〉2.10kg
〈サイズ〉
●設営時:幅135cm(+前室:左右に各60cmずつ)×奥行210cm×高さ100cm
●収納時:長さ50cm×直径15cm
〈材質〉
●フライシート:20Dシリコーンコーティングナイロン(防水力PU4000mm)
●フロアシート:20Dシリコーンコーティングナイロン(防水力PU4000mm)
●ポール:7001高強度アルミニウム
〈カラー〉グリーン、パープル、ピンク、グレー
これらのアジアメーカーがヨーロッパにも進出している中、日本メーカーのものは残念ながら、見かけたことがありません。イタリアの友人たちと話していると、アウトドア商品に関しては、歴史の古いヨーロッパの方がお手頃な印象です。
しかしながら、筆者は日本のアウトドアブランドであるフィールドア社(FIELDOOR) の「フィールドキャンプドーム200」がかなり気になっています。
内部が2m×2mという広さで前室もあり、1万円前後という価格帯ですのでぜひ試してみたいです。
別売りポールを取り付ければキャノピーとしても使える3~4人用テント。
他にも「FIELDOOR (フィールドア)」のテントについて書かれた記事もありますので参考までにチェックして見てくださいね。
テント選びは用途に合ったものを!夏はメッシュ生地と出入口2つで風通し◎ 前室に荷物を置けば中は広々
今回、ベテランキャンパーたちが教えてくれた使い心地と短所をもとに、テント選びの際に改めて注目したい基本点をまとめてみます。
◆広さ
・荷物が多い場合は前室があると中を広く使えて便利。
・友人らと一緒に使う際には、出入口が2つあるとお互いの空間を守りやすい。
・3人用テントという文言で売られていても、カラハリ3のような幅180cmなら一人の幅が60cmしかなく、男性3人だとかなり狭い(子連れファミリー向けには良さそう)。
◆風通しvs寒さ
・出入口が2つあれば風通しはいいが、冬や寒い場所には向かない。
・インナー生地がメッシュの場合は夏の蒸し暑さを軽減するが、その分、寒さには弱くなる。
・フライシートが地面にしっかり着くかどうかで、下からのすきま風の具合が変わる。
◆その他
・良い物を買えば、毎年ハードに使っても20年以上使えるという実績あり。
自分のお気に入りを見つけられれば、(少々、値段が高くても)何年も使い続けられるという点も大切な要素だと感じました。テント選びは色や見た目だけでなく、使うシーンに合わせた実用性をしっかりと考えたいものですね。