阪神・藤浪の「リリーフ再転換」を推すワケ OBが求める“Vへの盤石態勢”の構築

阪神・藤浪晋太郎【写真:荒川祐史】

4月23日のDeNA戦を最後に2軍落ち…ファームでも精彩欠く

阪神の藤浪晋太郎投手が、ファームでも制球難に苦しんでいる。22日に2軍本拠地の鳴尾浜球場で行われたウエスタン・リーグの中日戦に先発したが、3回を3安打3失点。連続押し出しを含む6四球2暴投と大荒れだった。1軍のチームは2005年以来16年ぶりの優勝へ向けて首位を走っているが、初の開幕投手に抜擢された右腕はいまだ期待に応えられていない。高い潜在能力を1軍で生かす術はないのだろうか……。【宮脇広久】

この日の藤浪は、2回まで2安打1四球1暴投を与えながら無失点でしのいでいたが、3イニング目に大きく乱れた。先頭の石垣に右前打を許すと、続く溝脇、伊藤には連続四球で無死満塁に。1死後、石川昂の打席で暴投し、まず1失点。石川昂は空振り三振に仕留めたが、平田に四球を与えて再び満塁とすると、続く堂上、岡林に連続押し出し四球。この回限りでマウンドを降りた。ウエスタンでは4試合に登板し、0勝1敗、防御率5.63と精彩を欠いている。

今季は1軍で初めて開幕投手を任された藤浪。5試合で2勝1敗、防御率2.60をマークしたが、4月23日のDeNA戦で4回2安打7四死球2暴投4失点と荒れたのを最後に、2軍落ち。1軍の矢野燿大監督は、藤浪をあくまで先発として再生する方針を示している。

一方、球団OBからは別の視点も。現役時代に4球団で21年間捕手として活躍し、阪神では6年間矢野監督とも同僚として過ごした野球評論家の野口寿浩氏は「藤浪は前回登板(今月13日のウエスタン・オリックス戦)でも1回は無難に抑えながら、2回と5回に大量失点している。昨季に適性を見せた中継ぎで、もう1度試してみる価値はあるのではないか」と見る。

藤浪の配置転換で「リリーフも常に誰かを休ませながら…」

藤浪は、昨年9月26日から10月21日までの約1か月間、1軍で中継ぎとして13試合登板。7ホールドを挙げ、防御率2.35をマークした。特に、回をまたがない1イニング限定の場合は1度も失点せず、その後
再び先発に戻った。

今季1軍は首位を快走中だが、シーズン終盤の勝負所へ向け、藤浪がブルペンに加われば貴重な戦力になりうると野口氏は分析する。

「岩貞、岩崎、守護神スアレスが安定している“勝利の方程式”に藤浪が加われば、先発投手は5回まで抑えればいいことになる。もしくは、西勇、秋山ら長いイニングを任せられる先発がいるので、リリーフも常に誰かを休ませながらローテーションのように起用することが可能になる」

そうなれば、優勝へ向けて盤石の態勢ができ上がりそうだ。底知れない潜在能力を誇る藤浪が先発として大成してほしいのは山々だが、プロ9年目を迎えている今、1軍の戦力として活用できる可能性の高い方法を選択すべき時かもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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