パ・リーグ単独首位で交流戦へ 鷹は“キューバ危機”をどう乗り越える?

ソフトバンクのリバン・モイネロ【写真:荒川祐史】

23日のオリックス戦に勝利し単独首位で交流戦に臨むことになったソフトバンク

ソフトバンクは23日、本拠地・PayPayドームで行われたオリックス戦に7-2で快勝した。6カード連続勝ち越しなしのあと、3カード連続で勝ち越し。浮き沈みはありつつも、24勝17敗7分けの貯金7とし、パ・リーグ単独首位で2年ぶりの交流戦に臨むことになった。

この試合、先発の和田が7回途中までオリックス打線を4安打1失点と好投。打線も初回に4番・柳田の適時打で幸先よく先制すると、3回には中村晃の併殺崩れの間に1点を追加。4回には松田の5号ソロ、7回には牧原大、栗原の連続適時打が飛び出してリードを広げた。

8回には、6点差がありながらも、森唯斗の不在を受けて代役守護神を任されていたモイネロを投入。簡単に3人で斬ると、9回には岩嵜がマウンドへ。ソロで1点を失いこそしたが、勝利の方程式を惜しげもなく投入して白星を掴んだ。

試合後、工藤公康監督は「今日は勝っていたら、いってもらうつもりでした。(岩嵜も)9回に投げることに少しでも慣れてもらったほうがいいかな、と」と明かした。勝っている展開であれば、何点差でもモイネロ、岩嵜を投入するつもりだったという。

モイネロ、デスパイネらキューバの3選手が24日に離日

25日から始まる「日本生命セ・パ交流戦」。ソフトバンクはセ・リーグ球団とともに“キューバ危機”とも戦わなければならない。アメリカ・フロリダ州で行われる東京五輪アメリカ大陸予選に出場するため、モイネロ、アルフレド・デスパイネ外野手、育成選手のアンディ・ロドリゲス投手が24日に離日する。

同予選は5月31日から6月5日まで行われ、さらにキューバがメキシコで6月16日から同20日まで行われる世界最終予選に進むことになれば、離脱期間はさらに延びる。再来日後には、新型コロナウイルス感染予防のため、2週間の自宅待機期間もある。最長で離脱は1か月を超える。

デスパイネは下半身のコンディション不良のためにファームで調整中。グラシアルも薬指の骨折などで離脱中(予選には不参加)だ。打線は昨年大不振だったウラディミール・バレンティン外野手がまずまず、主砲の柳田悠岐外野手や栗原陵矢捕手の打撃の状態も復調してきており、なんとかカバーできそう。ただ、モイネロの不在は大きな穴となりそうだ。

モイネロは今季20試合に登板し0勝0敗6ホールド5セーブ、防御率0.45をマーク。圧倒的な三振奪取能力を誇り、チームの中でも替えが効かない存在だ。さらに言えば、守護神の森も「左肘関節化膿性滑液包炎」で離脱中。まだ復帰は先となる見通しで、しばらくは守護神とセットアッパーを欠いて戦わなければならない。

7、8回を任される投手たちが交流戦の鍵を握る?

森が戻ってくるまでの間、9回にクローザーを任されるのが岩嵜だ。この日の9回登板は、交流戦を見据えた上での“予行演習”。勝ち試合の9回のマウンドに一度、上げておきたかったということ。翌日から不在となるモイネロも“最後に”使っておきたかった。

「みんなで埋めるしかないですね。特定の誰かではなく、7回、8回は3、4人でいってもらうことになると思います。順番を入れ替えたり、というのもあると思います」

この日の試合後、工藤監督は交流戦での勝ちパターンについて、こう思いを巡らせた。鍵を握るのが、9回の岩嵜まで繋ぐ7、8回。ここを任される投手は嘉弥真新也投手、泉圭輔投手、津森宥紀投手、そして板東湧梧投手の4人になりそうだ。

“左キラー”の嘉弥真だが、この日も抑えたように右打者相手でも成績は悪くない。泉はここまで防御率0.96、津森も同2.30といい投球を見せている。右肘手術から復帰した板東はまだ今季の1軍登板は2試合ながら、首脳陣からの期待も大きい。この4投手を相手の打順の巡り、その日の状態などを見極めた上で臨機応変に送り込んでいくというのが基本策となりそうである。

セ・リーグ球団との交流戦は、一歩間違うと、リーグ内で大きく取り残される危険性をはらんでおり、取りこぼしは命取りになる。2年ぶりに開催される交流戦。ソフトバンクのリリーフ陣の働きに注目したい。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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