新型コロナ対策で公明党の存在感が光る!? 公明党・斉藤鉄夫氏に聞く!

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今回は2020年7月24日に公開された対談の様子をご紹介。ゲストは公明党・斉藤鉄夫幹事長(当時)です。新型コロナウイルス支援策として公明党が働きかけた特別定額給付金やGoToキャンペーンについて伺いました。

公明党の直談判がダメ押しとなり、一律10万円の定額給付金が実現

 

まず話題に上ったのは、特別定額給付金の受給資格と金額について。

自民党は当初所得制限を設けて世帯ごとに30万円を給付する案、公明党はひとりひとりに10万円を給付する案を考えていましたが、自民党は公明党と対話なしに自民党案を進めていったといいます。

公明党はいったんは自民党案を飲んだものの、党内には抗議の電話が鳴り止まなかったそうです。その声の大きさは、安倍政権、ひいては自公政権をも危うくさせるくらいのものでした。

そこで動いたのは自民党・二階幹事長です。自民党案に対し、ひとりひとりに一律で10万円を給付すべきだという発言が起きました。斉藤幹事長はこの発言を受けて「勇気が得られた」と述べます。

日々刻々と状況が変化していく中、公明党案こそ国民のために必要だと考え、公明党・山口那津男代表は安倍首相(当時)と直談判。所得制限なしに一律で素早く給付を行うべきだと提言しました。

その結果、安倍首相は閣議で一度は決めた予算の大枠を覆し、所得制限を設けない一律給付に方針を転換。昨年実施された特別定額給付金の実現には、こんな裏話があったのです。

乙武氏は「一律給付だと、逆に不公平だという声が挙がってきたのではないか」と質問。斉藤幹事長は、特別定額給付金に所得制限を設けていたとしたら避けられなかった問題点について述べました。

所得制限を設けていたとすると、所得を確認するプロセスが必要となり、結果として給付が遅れます。できるだけ早く給付金を届けたいと考えていた公明党は、このプロセスを撤廃することを重要視しました。

また、所得を確認する場合、確認できる所得は2019年のものでした。しかし、2020年前半に売上が落ちたり、お金が足りなくて困っているという国民の声を聞いていた公明党は、2019年の所得は特別定額給付金の受給資格には関係ないものであると考えていました。

 

第2波以降は教訓を踏まえてメリハリをつけた支援・措置を行う

今後の対策について話題は移行。斉藤幹事長は、第1波の教訓を来る第2波、第3波に活かす考えを口にしました。

何も分からない状態で訪れた第1波を通して、医学的・疫学的に新型コロナウイルスの特徴や伝染のしかた等の知見が貯まったということ、第1波では全面的な自粛を求めたが次回はポイントを押さえた対策をすることで感染拡大防止と社会経済活動の両輪を維持したいとのこと。

乙武氏は当時検討されていたGoToキャンペーンについても言及。斉藤氏は反対の声が挙がっていることは否定はせず、それでも飲食・旅行業界の苦しい声を聞き、感染防止対策をしっかりと施した上で経済を回す意義はあると述べます。

GoToキャンペーンの対象となる飲食・旅行業界から声が挙がった時期は、実際にGoToキャンペーンを計画した4月~5月にかけてよりも前の2月~3月が中心であったといいます。大きな業界団体から斉藤氏の地元の小さな飲食店まで、客足が途絶えたこと、そして先行きが見えない不安を訴えられたそうです。その声を受けて政府が考案した業界振興策がGoToキャンペーンでした。

こちらは本記事公開時から振り返ると約10ヶ月前の動画となりますが、第1波を乗り切りまだまだ不安が消えない中、感染防止と経済というせめぎ合いの中で葛藤している様子も見られた乙武氏×斉藤鉄夫幹事長の対談でした。

 

斉藤鉄夫氏プロフィール

1952年島根県生まれ。清水建設勤務を経て1993年7月、旧広島1区より衆議院議員に初当選。2017年に実施された第48回衆議院議員選挙では比例中国ブロックより当選。

工学博士、東京工業大学大学院理工学研究科応用物理学専攻修士課程修了。

現在は公明党の副代表、総合選挙対策本部長、憲法調査会顧問、税制調査会顧問、広島県本部顧問を務める。

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