JICAと楽天が包括連携協定を締結、途上国への協力事業に伴うSDGs達成に貢献

独立行政法人国際協力機構(JICA)と楽天は2月、国際協力を通じた途上国の開発課題の解決およびSDGsの達成に貢献する「包括連携協定」を結んだ。JICAは国際協力による海外ネットワーク、楽天はデジタルマーケットの強みを生かし、国内外の多様なステークホルダーとともにSDGsへの理解、取り組み、協働を推し進める。JICAの萱島信子理事は「途上国のスタートアップ事業にはデジタル技術が重要。楽天との取り組みで、これまでにないインパクトを生み出したい」と連携協定の意義を語った。(松島 香織)

JICA理事の萱島信子氏と楽天 常務執行役員 CWO (Chief Well-Being Officer)の小林正忠氏

包括連携では主にSDGsの17目標のうち、「目標9 レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」「目標12 持続可能な消費と生産のパターンを確保する」「目標17 持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」の3つの目標に取り組む。

楽天は2018年から社会課題の解決を目指すソーシャルイノベーションプログラム「Rakuten Social Accelerator」を始めており、社会課題を解決したい起業家を楽天社員がサポートしてマーケティングやサービス開発につなげている。また「EARTH MALL with Rakuten」ではフェアトレードやGOTS認証(オーガニックテキスタイル世界基準)などを受けた商品を紹介し、「持続可能な消費」の理解を広めている。

今回の両者による「包括連携協定」は、2019年「EARTH MALL with Rakuten」でJICAの取り組みや開発途上国の商品を紹介したことから始まったという。お互いの中堅・若手スタッフにより推し進められた協定であり、萱島理事はトップダウンでなくボトムアップだったことを強調し、「こうした連携が大きな価値を生む」と若手スタッフに期待を寄せた。

連携に関して具体的な数値目標はないが、楽天のインフラを通じてSDGsを自分事として多くの人が主体的に取り組み、パートナーシップが生まれることを目指す。具体的には、途上国産品の販路拡大に向け、「EARTH MALL with Rakuten」等でJICAが支援する途上国の現地企業や商品に関する情報を発信したり、JICAが支援する留学生をインターンシップとして楽天で受け入れる。また、JICAの海外協力隊員と日本国内の企業および個人とのパートナーシップを活性化させるためのプラットフォームを構築するという。

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