スターダストレビュー「シュガーはお年頃」日本ポップス史上最も完成度の高いデビュー曲 1981年 5月25日 スターダスト・レビューのデビューシングル「シュガーはお年頃」がリリースされた日

スターダスト・レビュー根本要が語った音楽のスリップストリームとは?

スターダスト・レビューのヴォーカル&ギター根本要にインタビューした時の印象的な言葉が忘れられない。2006年、デビュー25周年ベストアルバムでの取材だった。

「と言っても、ヒットと呼べるような曲は1曲もないんです(笑)。ただ音楽が好きで、バンドが好きで当たり前のことだけをやってきた。スタレビはまだこれからのバンドなんです。僕らよりも常に前にいた凄いアーティストたちが、いつも風よけになってくれたおかげで、これだけ長く好きな音楽活動を続けられたんじゃないかな。僕たちは音楽のスリップストリーム状態って呼んでますけどね」(『デジモノステーション』エムオン・エンタテインメント:2006年3月号より)

一瞬キョトンとした筆者に “スリップストリーム” の意味を、レーシング・テクニックのひとつで前方マシンのうしろにつき自車のボディへの空気抵抗を減らすことと丁寧に教えてくれた。

“前にいた凄いアーティスト” たちを横目に、『つま恋100曲ライヴ』で101曲披露し “24時間で最も多く演奏したバンド” としてギネス認定されたことも「ただの結果です」と笑っていた。笑顔の向こう側、その発言の端々にバンドが奏でる音楽への誇りと愛情が文字通り星屑のように散りばめられていたことは言うまでもない。

王道AORと遊びのギミックを効かした貫禄の1曲「シュガーはお年頃」

今年、デビュー40年を迎えたスターダスト・レビュー。通算シングルはまもなく60枚、アルバムは50枚に届きそうだ。通算ライヴ数は裕に2,400本を超えている。単純計算で年間60本以上のライヴをその規模は拡大させながら40年間続けてきたことになる。日本屈指のライヴバンドの称号は、もはやスタレビのものかもしれない。

誰も到達できなかった生きた伝説の領域に足を踏み入れているが、偉大なキャリアは “日本ポップス史上最も完成度の高いデビュー曲” といっても過言ではない「シュガーはお年頃」から始まった。

デビューシングル「シュガーはお年頃」は、時流でもあった王道AORと遊びのギミックを効かした新人らしからぬ貫禄の1曲だった。

「マンハッタン・トランスファーとポインター・シスターズが服部良一のメロディを歌ったらこうなるんじゃないか?(根本)」

… という壮大なコンセプトは言い得て妙。冒頭の「♪ シュガー」の美技アカペラコーラスに始まり、軽快なリズムと弾ける鍵盤に思わずニンマリ。「♪ あなたと手を組んで歩きゃ私も楽し」飛び切り陽気だ。キャッチーで洒落たメロディを奏でる卓越した演奏力。楽器レスになるサビでは完全なアカペラを再度披露。バンドの指針ともなる巧みな音楽包容力をサラリと誇示。さらに80年代初めに日本のロック界に溢れていた英詞は皆無のドメスティックな文脈。お年頃の揺れる恋心を「♪ だからブギウギわくわく」と歌い切った。同じブギウギでも人気絶頂・田原俊彦の「ブギ浮ぎI LOVE YOU」(1981年4月1日発売)はオリコン2位だったが、スタレビ「シュガーはお年頃」はチャートインすることはなかった。

ライヴはいつも新鮮、何度歌っても飽きることは絶対にない!

その後、「トワイライト・アヴェニュー」(1983年)、「夢伝説」(1985年)、「今夜だけきっと」(1986年)、「木蘭の涙」(1993年)など、数多くの名曲が、数字の記録以上にメロディの記憶となって時代を越えた。

それは時代や流行に左右されづらい高質なポップソングを生み出し続けているという常套句では片付けられないかもしれない。「シュガーはお年頃」で魅せてくれたバンドで奏でるワクワク感を今も持ち続けているから? ―― その答えは、やはり忘れられないインタビューの中に再発見した。

「今でもステージで古い曲を演奏し続けているのは、単純に作品として聴いて欲しいのもあるけど、レコーディングしたあの時よりも今日の方が絶対うまく歌えるって思ってるからなんです。だから、まさに今日が一番のベストライブだって臨んでいるんですが、それでも、あーすればよかった、こうすればよかったって、毎回思うんです(笑)。僕らにとってライヴはいつも新鮮なもの。だから何度歌っても飽きることは絶対にないですね(根本)」。

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カタリベ: 安川達也

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