東京六大学野球 東大連敗64で止めた!“勝利の女神”ほほ笑む

東京六大学野球で63連敗が続いていた東京大学野球部が、連敗脱出に向けて春季リーグ最後の法政大学戦に臨みました。長く苦しい道のりを希望を捨てずに頑張り続けた東京大学に“神宮の勝利の女神”がようやくほほ笑みました。

東京六大学野球春のリーグ戦で東京大学はここまで引き分けを挟んで7連敗中で、2017年の秋に勝って以来、白星に恵まれていません。大音周平キャプテンをはじめとした4年生は入学以来、一度も勝利を味わうことなく大学野球生活最後の年を迎えてしまいました。卒業までの目標は「まず1勝すること」です。

5月22日に行われた法政大学との試合では、東大野球の武器である機動力が光ります。4回にキャプテンの大音が盗塁を決めると、続く井上慶秀のレフト前ヒットで1点を取ります。さらに5回には代走に起用された隈部敢が相手キャッチャーの返球の隙をついた盗塁で3塁に進み、追加点につなげます。しかし、先発のエース・井沢駿介がリードを守れません。2点タイムリーヒットを浴びて逆転されると、試合は2対10で法政に敗れ、連敗は「64」まで伸びてしまいました。この日突然降り出した雨は、東大ナインと彼らを応援し続ける人たちの涙雨のようでした。

しかし春のリーグ最終戦となる5月23日、神宮球場は晴天に恵まれました。青い空は東大のチームカラーのブルー、白い雲は白星を連想させます。スタンドの応援部も観客も「連敗を秋まで持ち越すな!」という思いただ一つです。

この日も東大ナインは足で魅せます。2回、代走の阿久津怜生が初球スチールに成功し、続く松岡泰希が「なんとしても連敗を止める」という気持ちで振った打球がライト前ヒットとなり、東大が1点を先制します。さらに4回、前日に3塁への盗塁を決めた隈部がピッチャー前の打球でホームに突入し、東大が2点のリードを奪います。8回からマウンドに上がったのは、前日に逆転打を浴びてしまったエース・井沢です。ホームランなら逆転されてしまうという場面で、相手の四番を迎えます。前の日の悪夢が頭をよぎりますが、伊沢はエースの意地を見せ、得点を許しません。東大リードで迎えた9回、東大の応援スタンドから手拍手の嵐が起こる中、伊沢は最後のバッターをショートゴロに抑え、2対0で試合終了です。東大野球部の64連敗という長かったトンネルをついに抜けた瞬間です。

大音キャプテンは「64連敗という笑い話みたいな数字だが、その中でも一生懸命やってこられたことは、これからも何かに取り組むに当たって自信になるのではないかと思う」と話し、この苦しかった経験は決して無駄ではなかったといいます。また、いつも応援してくれるファンに向けて「これからはどんどん勝っていきますので、注目よろしくお願いします」と呼び掛けました。

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