種も仕掛けもある奇術を排他的に守り抜く魔法都市で育った少女が“ほんものの魔法”と出会うファンタジイの名作『ほんものの魔法使』（ポール・ギャリコ／矢川澄子訳）の復刊が決定し大きな話題を呼んでいる。5月10日の発売以降も大きく売上を伸ばし、 このほど4刷目の重版が決定するなど、 その勢いはまだまだ続きそうだ。 名作として名高い『ほんものの魔法使』、 近年では入手困難な状況が続いていた。 しかし宝塚歌劇での舞台化が決定したことで急激に注目が集なった。 創元推理文庫からの復刊をリリースした際には多くの反響が寄せられ、 大手通販サイトには予約が殺到し、 文庫ランキングの1位を獲得。 版元の東京創元社では当初の初版部数から増数することを決定。しかしその後も予約は伸び続け、 一般書店からの事前注文も多数寄せられたことから、 刊行前にもかかわらず重版を決定。 緊急事態宣言下の発売となったが、 売り上げは絶好調。 刊行直後と舞台公演スタート時にも重版を決定。 異例のペースで版を重ねている。 もともと東京創元社の刊行物ではなかった『ほんものの魔法使』。 創元推理文庫からの刊行が決まったきっかけは、 東京創元社内の宝塚歌劇ファンで構成する「ヅカ部」による熱い推薦。 企画立案から急ピッチで作業を進めての緊急復刊に至る流れは、 こちらの記事に詳しく記している。 宝塚での舞台公演がスタートし、 今後は神奈川でも公演が予定。 著者のポール・ギャリコは『雪のひとひら』『ジェニィ』などで知られる作家。 この『ほんものの魔法使』もメジャータイトルに比肩する素敵な物語。 くらはしれい氏の装画も愛らしく温かみがあり、 大切な人や頑張っている人への贈り物にもおすすめの一冊。
