京大が初の博士号取り消し 論文盗用を認定

元院生の論文盗用による博士号取り消しについて謝罪する京都大理事ら(25日、京都市左京区・京大)

 京都大は25日、人間・環境学研究科の元大学院生に対して2012年9月に授与した博士号(人間・環境学)を取り消したと発表した。京大が博士号を取り消すのは初めて。

 京大によると19年5月、元院生が所属する講座の紀要に掲載した論文に盗用の疑いがあると通報があった。調査を開始したところ、計11カ所で出典を明記しない無断引用や着眼点の無断借用などを確認。さらに博士論文「日本語と中国語の再帰代名詞について」の一部に、紀要に載った論文が転用されていることを確認したため盗用と認定した。

 京大は再発防止策として、学位論文の調査委員に人間・環境学研究科以外の研究者を加えたり、論文剽窃(ひょうせつ)チェックツールを導入したりするという。京都市左京区の京大で会見した平井明成・総務担当理事は「いま一度、研究倫理の教育を徹底する。国民に深くおわびする」と謝罪した。

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