ダメ出し歓迎? ソフトバンク・武田に「好投しても褒められない男」の勲章

中日打線を相手に粘投を見せたソフトバンク・武田だが…

好投しても褒められない男になってきた。ソフトバンク・武田翔太投手(28)が25日の交流戦開幕カードの中日戦(バンテリン)で6回2失点ながら3敗目。中日・柳との投手戦に屈した右腕は「三者凡退が少なく、リズムよくアウトを取れなかった。攻撃につながるような投球がしたかった」と反省し、責任感をにじませた。

武田は前回18日の西武戦で128球完投。今季44試合目にして、チーム初の完投者だった。千賀、東浜が出遅れ〝先発不安〟のチームにあって「よくやった」という声がある一方で「これくらいやってもらわないと困る選手」との声も少なくない。

かねて工藤監督は能力を高く評価してきた。就任1年目の2015年から13勝、14勝。飛躍を確信していたからこそ、近年下降する成績に歯がゆさも募ったことだろう。好投しても指揮官が厳しい言葉をかけるのは期待の裏返しでもある。この日の登板に向けても「完投した次の試合が一番大事。(先週)完投して当然、満足感もあるだろうが、この1週間でしっかり疲労を取って、いい調整ができればというところ。大事なのはここでどんな投球ができるか」と話していた。

11日のロッテ戦でレアードに2被弾した試合後には、厳しい言葉のオンパレードで「1球に対する自分の気持ちというか、チームにとって、この1球が大きいんだという思いがほしい」と強く訴えていたほどだ。

この日のクオリティ・スタート(6回以上、自責点3以下)も最低限の仕事。カード頭での内角攻めで相手打者を崩す役割も強く求められる。好投してもシビアな指摘を受けるのは「勲章」といっていい。

かねて記者にも「悪い時は遠慮せず叩いてください」と言っていた。周囲から向けられる目が変わってきていることは本人が一番感じているはずだ。

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