ワクチン接種を迅速に 自治体や民間が独自のサポート

新型コロナウイルスのワクチン接種加速に期待がかかる中、自治体や民間でも接種を迅速に行えるさまざまな工夫やサポートが進んでいます。

<薬局がワクチン配達 東京・豊島区で独自方式>

東京・豊島区では5月19日から高齢者の個別接種が進められています。区内の保健所は冷凍庫からワクチンを取り出し、発送用に小分けされたワクチンは車に乗せられ運ばれていきます。

10分ほどで運ばれるのは、区内にある「薬局」です。豊島区は円滑な配送体制を目指すため、独自の方式として薬局の薬剤師が医療機関にワクチンを運ぶ仕組みを採っています。ワクチンは毎週火曜日と金曜日に保健所から薬剤師会指定の41の拠点薬局に冷凍配送され、薬剤師が冷凍ケースのまま200カ所に上る医療機関に運びます。豊島区では高齢者のワクチン接種のうち7割がかかりつけ医で行う個別接種で対応するため、医療機関への迅速な配達が必須だということから、薬局を活用した全国初の独自の方式を採ったということです。

地域の薬局は医療器具の取り扱いに習熟していることや日常から医療機関とのつながりがあることから、安全かつ迅速なワクチン配達になるということです。

<ワクチン予約を手助け 東京・八王子に"駆け込み寺”!>

ワクチン接種の動きが自治体で加速する中、予約が取れないなどのトラブルも起きています。予約が難しい高齢者を支えようと、東京・八王子市で立ち上がった人がいました。

支援に名乗りを上げたのは、市内にある本立寺の住職・及川一晋さんです。及川さんは市内で75歳以上の再予約が始まる前日、寺の掲示板に「(ワクチンの)申し込み手続きでお困りの方は書類をお持ちの上、本立寺事務所までお越しください。サポート致します」と張り紙をしました。及川住職は「予約前に困っている人もいるのではないかと思い、張り出した」と話します。

これまでに掲示板を見た高齢者が20人ほど訪れ、住職や僧侶が予約をサポートしたといいます。及川住職は「予約ができた時には皆さん、満面の笑顔でお帰りになりました。いま生きて困っている人に直接、手を差し伸べることができたことは私たちにとってもうれしい体験」と話しています。

寺ではまだ予約ができていない人に向け、今後も対応していくということです。

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