ルワンダの難病児を救いたい “恩人”の窮地に団結 JICA元隊員がCF 諫早の田川さんら 

ルワンダで暮らすイディーさんとガンザちゃん親子(田川さん提供)

 新生児の難病「胆道閉鎖症」を患うルワンダの赤ちゃんを救おうと、同国で活動した国際協力機構(JICA)の元青年海外協力隊員らがクラウドファンディング(CF)を活用し、手術費約2100万円を目標に募金を呼び掛けている。
 生後6カ月のガンザちゃんは、同国JICAの男性職員、イディー・ハビヤンベレさん(44)の三男。肝臓と十二指腸との間にある胆管が詰まる「1万人に1人」とされる病気で、生後3カ月の時に手術したが改善せず、早急な肝臓移植が必要となっている。
 ガンザちゃんの母親の肝臓が適合すると分かり、移植手術の成功率も高いとイディーさんは説明を受けた。だが、同国内では手術ができず、予定するベルギーでの手術は保険が適用されず、費用は約2100万円。大半が「1日1ドル(約108円)」程度で暮らすルワンダ国民にとって、とても払える額ではなかった。
 5月13日、現地在住の元隊員がイディーさんの窮状を知り、帰国した日本各地の元隊員たちに連絡した。長崎県諫早市の県職員、田川統子さん(29)も連絡を受けた一人。田川さんは2018年7月から20年3月まで同国で安定的な水供給のシステム構築に従事した。
 文化も環境も大きく異なるアフリカの地での生活。不安を抱えた時、相談に乗ってくれたのがイディーさんだった。住居の手配に始まり、派遣先の職場でトラブルがあればすぐに駆け付けてくれた。田川さんだけでなく、同国で働いた元隊員たちの多くが支えてもらったという。
 “恩人”の窮状を知った元隊員らの動きは素早かった。連絡を受けた翌14日に「ガンザ君基金実行委員会」を設立。約20人が協力し、さまざまな会員制交流サイト(SNS)でイディーさんが立ち上げたCFの情報を拡散し、24日夜までに日本国内を中心に約1300万円の支援が集まった。イディーさんは元隊員らに「家族一同、感謝の気持ちでいっぱい」とのメッセージを寄せた。
 CFは30日までに残り約800万円を目標としている。田川さんは「世界中どこにいても助かる命が助かる世界になってほしい。少しでも協力してもらえればうれしい」と話した。
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 CFのページ「ガンザくんを助けたい!!」のURLはhttps://gofund.me/fb4574b9

ルワンダで現地の子どもたちと触れ合う田川さん(2019年11月撮影、本人提供)

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