【日本ダービー】青葉賞Vワンダフルタウン 競馬界の“呪い”解く!

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黒歴史に立ち向かうワンダフルタウン

1995年にダービートライアルとなった青葉賞。それから月日が流れたが、いまだにこのレースからダービー馬は誕生していない。あの名門・藤沢和雄厩舎の代表馬で、2002、03年に楽勝したシンボリクリスエス&ゼンノロブロイですら本番は2着というからまさに鬼門。同じ東京芝2400メートルが舞台なのになぜ? このジンクスに答えをくれたのは西の闘券・難波田忠雄記者。3歳初戦でのV、キタサンブラックを知る男、藤沢和師からのお墨付き…さまざまな周辺情報から今年の勝ち馬ワンダフルタウンは黒歴史を打ち破る可能性があると断言した。

昨年の京都2歳Sを制した後は、皐月賞からの再始動を予定していたワンダフルタウン。しかし、爪の不安があって“ルート”を変更。最大目標をすぐさまダービーに切り替えて青葉賞を今年初戦に選択した。レースは内々でしっかり脚をためて、残り200メートルを過ぎた地点で先頭に立つ理想的な競馬。ゴール前は内から迫ってきたキングストンボーイの脚勢が上回っていたが、持ち味の勝負根性でしのぎ切った。

実はこの3歳初戦でのVは青葉賞がダービーTRになって以降、27年の歴史で初の快挙だった。ともに青葉賞を圧勝しながら、本番で2着に敗れた02年シンボリクリスエス、03年ゼンノロブロイはそれぞれ3歳5、4戦目でのV。余力を残してダービーに参戦できるという意味では今年の勝ち馬は群を抜いている。長らく続いた「青葉賞馬はダービーを勝てない」という競馬界の“呪い”を解く可能性を十分に秘めているのだ。

同馬を担当する西加助手はこの勝利の後に多くの関係者から祝福されるが、その中で藤沢和調教師からも「おめでとう」との言葉をかけられた。「先生(高橋忠調教師)よりも誰よりも藤沢さんにおめでとうと言ってもらえたのがうれしかったです(笑い)」と笑みを浮かべる。周囲の雑音で「おめでとう」以降の言葉は聞き取れなかったものの、自身の管理馬キングストンボーイが2着に敗れた直後に祝いの言葉をかけたのはすなわち、その強さを素直に認めた証拠とも言える。おそらく、かき消された藤沢和調教師の言葉は「まだ仕上がり途上で勝ったんだからダービーはもっと良くなるぞ。オレの分まで頑張ってくれ」ではなかったのか?

来年2月で定年を迎え、最後のダービーに管理馬(キングストンボーイ=ダービー参戦見送り)を出走させることがなかった名将が送った力強いエール。記者はそう勝手に想像している。

「これまで青葉賞を勝って挑戦した馬はそれまで何回か走っていましたからね。この馬は今年の1走目。レースが上手でかかるところがないし、競馬にいっても小脚が使えて器用ですからね。ボクの馬は皐月賞の上位馬と未対戦。京都2歳Sではきさらぎ賞を勝ったラーゴムを負かしているし、ここに入っても力差はないと思っていますよ」と既存勢力撃破に自信を見せる。

西加助手自身は昨年4月に高橋義忠厩舎のスタッフに加わったばかりで年齢は34歳。それまでは某牧場で厩舎長をしていて、キタサンブラックにもまたがったことがある“骨太”の経歴を持つ人物だ。受験資格=満28歳未満というルールで、それまで諦めざるを得なかったJRA競馬学校の厩務員課程に、年齢制限が撤廃された19年に入学した“第1期生”。同期で同じオーバーエージ組が何人かいたそうだが、新規として厩舎スタッフに採用されたのは撤廃組では一番だったというからその敏腕ぶりが分かる。

ちなみに当方が親しくしている現・安田隆行厩舎の吉田厩務員はキャリア3年半の20歳だった82年にバンブーアトラスで、上村厩舎の黒野助手はキャリアわずか11か月の25歳(04年キングカメハメハ)でそれぞれダービーを勝っているが、西加助手の、トレセン入りわずか1年2か月でダービー参戦も大したもの。もう一頭の担当馬は今年5月の新潟大賞典を勝ったサンレイポケットで、キャリア1年強で重賞3勝だから、前記2人と同じ“持っている男”だ。

「ダービーの調教ゼッケンが『18』だったので、本番(の枠)はその逆で『1』とか内が欲しいですね」と当人は話していたが、持っている男ならそれもかなうだろう。

名伯楽・藤沢和調教師からも強さを認められたワンダフルタウンが、競馬界の“呪縛”を解き放つ――。今年のダービーは新たな歴史を創生させる。